第40話
都市伝説パクトを見たオカは三月だと言うのに、背中や脇などに汗をかいていた。
「しょうがないかもしれないけど、都市伝説とかって、なんで後味悪いものばかりなんだ?」
時計を見ると既に夜の12時を指していた。
「パクトか……。まさかコイツもマサオさんみたいに超常現象的な存在じゃ無いだろうな?」
以前の記憶が強すぎたのか、オカは都市伝説に関しては何でも疑ってかかっている様だ。
「この工場ってどこの事言っているんだろ? そもそも実際にある工場か?」
オカは知らず知らずのうちに廃棄工場というワードをキーボードで打ち込み検索をしていた。本人は本当に無意識に調べているんだろう……。
「えっと……。うわー全国で検索すると思ったよりあるな」
一つ一つ見ていくオカだが都市伝説の情報だけで、どの工場か特定が出来るはずが無かった。
「パクトの情報は何か他に無いのか?」
工場だけでは無く、次はインパクトドライバーまで調べ始めるオカであったが、パクトの情報などは一切ヒットせず機能や使い方のページしか見つける事が出来なかったらしい。
「そういえば、マサオさんの舞台も結局はマサオさん自身が誘導したから、分かっただけだもんな」
都市伝説マサオさんの話だけでは、どの村までかは特定するのは難しかっただろう。
それから数時間程、パクトについて調べていたオカだったが、目ぼしい情報は特に見つける事が出来ずにその日は諦めた様だ。
「ふぅ……、なんだかんだ調べちゃったな」
やはり、都市伝説には興味があるのか、時間を忘れて記事を読み込み、またパクトについて調べたオカは苦笑いしながら凝り固まった肩をぐるりと回す。
「さてと、そろそろ寝るかな」
時計を見ると、更に三時間程経過していた。
「あ! ダルマにメッセージだけ送っとくか」
オカはダルマに対して、近々会おうとメッセージを送る。
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件名:今度会おう
【本文】
ダルマ久しぶりだな。
この前、久しぶりにフィブと会って話したんだけど、思ったより盛り上がってな、今度はダルマも呼ぼうって話になったから、近々会って話そうぜ________________________________________
「これで、送信と」
ダルマにメッセージを送ったオカはスマホをベットに放り投げて部屋を出た。
「シャワー入って寝よ寝よ」
早々とシャワーを浴びたオカは部屋に戻りベットに潜り込むと、スマホが点滅しているのが見えた。
「ん?」
スマホを確認すると、どうやらダルマからの返信が来ていた様だ。
「流石、俺と一緒の無職だなこんな時間に送っても、すぐ返信が来たな」
フィブ以外の仲間が見つかった事により、とても良い笑顔でダルマからのメッセージを開く。
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件名:別にいいぞ
【本文】
オカ久しぶりだな。元気にしていたか?
俺はいつでも構わないから予定が決まったら連絡してくれ
________________________________________
「ふふ、やっぱりダルマも無職確定だな」
どうやらいつでも構わないの文面を見た瞬間からオカは更に唇の端を吊り上げる様に笑う。
「これは、フィブだけじゃなてダルマの悩みも聞いてやらないとダメだな」
ダルマの方がオカより歳上の筈だが、オカはまるで同じ歳くらいの感覚に思っている様だ。
「よし、早速もう一人の無職にも連絡して会う予定でも決めるか!」
もう一人の無職とは恐らくファブの事であろう。こんな真夜中だと言うにオカは関係無く二人にバンバンメッセージを送るが、送られた二人も平気で返して来るのであった。
「おいおい、二人とも今は真夜中なんだぞ? 普通の人は寝ていると言うのに全く……」
言葉と表情が正反対のオカの指は高速でキーを打ち込み次会う予定を調整している。
やはり、自由な人間は夜型になりやすい傾向があるのか、オカに返信をしている二人も、全く眠く無いのだろう。
「場所どこにするかな……」
前回フィブと待ち合わせした場所にしようと思ったオカだったが、どうやらそこだとダルマが遠すぎると言う事らしい。
「なら新宿にしとくか……」
人が多いのであまり行きたくない場所であるが、オカは二人に提案する。すると直ぐに返信が来た。
「な、なんだよ却下って!」
どこがいいかオカが聴くとファブもダルマも秋葉原と返信が来た。
「お? 秋葉なら寧ろ嬉しいな」
少し早めに行き、秋葉を散策しようと考えたオカは秋葉原で良いと返信して時間と日にちを決めて寝る事にした。
「いやー、風呂入って寝ようと思ったけど、結局こんな時間かよ」
窓の外は既に明るくなってきて、早朝の散歩なのか犬を連れたおじさんが道を歩いているのが窓から見えた。
「俺はこれからお休みだけどな」
フィブとダルマとのやり取りですっかり都市伝説のパクトについては頭から離れたのか、すんなり寝れたオカだったが、パクトの話題は後になってまた聞くことになるとはこの時思わなかっただろう……。
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