第42話

「いやー、楽しかったなー」


 二人と別れた後のオカは来た時より更に楽しそうな表情を浮かべて帰宅中だ。


「フィブもダルマも変わってて面白いよな」


 オカ自身も相当変わっている事に本人は気が付いていないようだ。

 それから来た道を戻り自分の家に帰宅したオカはパソコンを立ち上げる。


「んー、今日はどこも更新してないな」


 お気に入りのサイトを回覧していたが、特に面白いのが無いのかオカは動画やゲームなどを始めた様だ。


「ふぅ……このゲーム難しいよな……」


 オカ自身はゲームは好きだが、そこまで上手く無いらしく、いつもは動画などの実況プレイで満足するタイプである。


「安売りしていたから買ったけど、クリア出来る気がしねぇー」


 それでも、画面に向かってプレイし続けるが、何度も何度も死んでしまい再プレイの繰り返しをしている。


 その時……


「ん?」


 スマホが震えた為、オカはゲームを中断して表示されている文字を確認する。


「プルさん? 電話なんてどうしたんだろ?」


 プルとも、あれ以来連絡などは取っていなかったので、いきなり電話が掛かって来たオカは不思議に思いつつ電話に出る。


「もしもし」

「あ、オカ君? 久しぶりね」

「お久しぶりです」


 プルの声色は何故か弾んでいた。


「急に電話なんてどうしたんですか?」

「こんな時間にごめんね」


 ゲームに集中していたオカはチラリと時計を確認する。時計は23時と電話をするなら結構遅い時間である。


「実はね、久しぶりに会って話したいと思ってね」


 あのマサオさんのオフ会時、プルと一番仲良かったのは、オカとカリンであろう。


「あ、それいいですね! 僕も久しぶりにプルさんと話たいです」

「なら、今度どこか待ち合わせしてお茶でもしましょうか」

「えぇ、喜んで」


 プルと話しながら、オカはここ最近マサオさんの時に出会った人間と会うのが多くなって来たなと心中で考えた。


「オカ君、いつ予定が空いているかしら?」

「俺、大学卒業したのでいつでも暇ですよ」

「そう? なら私が空いている日を後で何個か送るわね」


 電話越しにいるプルは鞄から自身の予定表を引っ張りながら、空いている日にちを確かめる。


「そういえば、オカ君あれから誰かと連絡取ったりしている?」


(あれからとは、マサオさんのオフ会の事だよな?)


「えぇ。今日、フィブとダルマと会ってましたよ」

「そうなの? なんだ、私も呼んでくれれば良かったのに」


 残念そうに呟くプルの声が電話越しから聴こえる。


「あはは、なら次会う時にフィブとダルマも呼びますか?」

「それいいわね。だけど予定合うかしら?」


 四人の予定を合わせるのは、なかなか難しいと思ったプルは顎に手を添えて少し考える。


(俺達全員無職なんで、大丈夫ですって言うの少しはずかしいな……)


「プルさん、た、多分俺も含めてフィブとダルマは大丈夫だと思います」

「そう? なら、出来るだけ大丈夫そうな日程を後で送るわね」


 どうせ、いずれは話す事になるであろうが、どうやらこの場では無職の事を隠す事にしたらしい。


「プルさんは、あれから誰かと連絡取ったりしましたか?」

「ふふ、私も実は取っているのよ」


 少し意外だと思ったオカはプルが誰と連絡取っているのか気になり聞いてみる事した。


「誰とですか?」

「私はヒューズ君とパーク君ね」

「二人共元気ですか?」

「えぇ、パーク君なんて、あんな怪我をしたのに今はピンピンしているわ」


(俺も脇腹を刺されたけど、パークさんも結構肩から血を流していたよな)


「ならこの際全員の予定合わせて会いますか?」

「あ、そうしましょうか!」


 オカの提案に、ナイスアイディアと言わんばかりにプルは同意した。


「なら二人にも聞いとくわね」

「俺も、フィブとダルマに聞いて見ます」


 それから二人は少しの間電話で話してた。


「これ以上話すとあった時に話題が無くなるわね」

「あはは、そうですね」

「それじゃ、予定が決まったらまた連絡するわ」

「はい、待っています」


 オカは電話を切り直ぐにフィブに電話をした。


「もしもし……」

「おう、フィブか?」

「何時だと思っているの……」

「あはは、どうせ寝てないだろ。この電話終わったらダルマにも電話する」

「それで、用件は……?」


 オカはプルとの会話をフィブに話した。


「分かった。私はいつでも平気……」

「また、色々決まったら連絡する」

「うん……」


 フィブとの電話を終わらすと、続いてダルマに電話する。


「オカ、お前何時だと思っているんだよ」

「あはは、どうせ起きていると思ってさ」

「そういう問題じゃ無いだろう……」


 ダルマは案外常識人の様だ。


 オカはフィブ同様ダルマにも先程の話をする。


「ヒューズさんも来るのか?」

「プルさんが聞くって言ってたから恐らくな」

「なら俺は行く」


 ダルマの声は高揚していた。


「分かった。なら色々決まったら連絡する」

「おう」


 ダルマとの電話も早々に済ましたオカ。


「いやー、皆んなと会うのは楽しみだなー!」


 こうして、皆んなの予定を合わせ、次の土曜日に新宿でご飯を食べる事になった……


  


 

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