第13話
オカ達とは少し離れた場所ではヒューズや姫達が村を見て回っている…
「ヒューズさんはー、都市伝説とか好きなんでかー?」
普段三騎士に対しては出さない様な甘えた声で姫は話し出す。
「そうだね。不思議な事が好きだね」
「えぇー! 同じだー私もそう言うの好きなんですよー」
姫は少しでも可愛く見られたいのか常に自身が一番可愛い角度に見られる様に立ち位置を変えている。
それを見た三騎士のリーダーであるキングは気が気では無い様だ。
そして、キング以外にも一人、ヒューズを睨み殺さんばかりの視線を送っている者が居た。
ダルマだ……。
彼は人付き合いが苦手なのか、ヒューズや姫達の数メートル離れた位置をキープして姫と接触出来る隙を伺っている様だ。
「ひ、姫様あまり我々から離れないでください。守りきれません」
「えー。ヒューズさんは大丈夫だよー。ねぇー、ヒューズさん!」
「僕は女の子には誰にでも優しいからね」
「ヒューズさんってとても素敵ですー」
それからは、姫が一方的にヒューズに対して気になる事を質問していた。どうやらヒューズは姫に興味が無いらしく、目線で追っているのは常にカリンであった。
それを女の勘なのか察知した姫は何か手を考える必要があると思い色々と思考を巡らすのであった。
またもう一方では、パークとフィブが一緒に見て回っている様だ。
「フィブはこういう都市伝説とか好きなのか?」
「……」
パークの大きな声に対して一切反応を見せないフィブだが、パークは気にせず一方的に話し続けるのであった。
「俺はな、都市伝説が好きと言うか自然が好きなんだよ!」
「……」
パークの話を聞き、フィブは思ったのだろう、自然が好きなら、何故こんな会に参加したのかと。
フィブが考えている事など知る由も無いパークはマサオさんについて調べる為に村を回っていると言うよりも食べれそうな物を探している様だ。
そして各々が日が暮れるまで村を見て回ったが結局、都市伝説に関係ありそうな事などは見つからなかった……。
「いやー、期待はしてませんでしたが、やはり結果が出ないと落ち込みますね」
「えぇ。私も何か良いネタが無いか見て回りましたが、ここはただの廃村でした」
「プルさんには何だか申し訳無い気持ちですよ」
「いえいえ、正男さんが謝る必要なんて無いです」
二人は焚き火を前にして話している。他の者もそれぞれ小さい焚き火を起こして話し込んでいるらしい。
「正男さん、明日には帰る予定ですか? ここまで何も無いと明日やる事がありませんし」
「……」
するといきなり正男は黙り込む。そして静かにゆっくりと正男は焚き火の火を見ながら言う。
「プルさん、それは明日になってから決めましょうか……」
正男の雰囲気は先程皆で話していた柔らかい感じでは無く、どこか無機質な感じだ。
「え、えぇ。そうですね……」
また、プルも正男の変化を感じ取ったのかそれだけしか言え無いのであった。
「では、私は先にテントに戻りますね」
正男は真顔でプルに戻る事を伝えると、一人でテントの中に入っていった……。
「なんだったのかしら……」
山の中と言う事もあると思うが、プルは正男の態度に寒気を覚えた。
そして一人だけだと不安に思ったのかオカとカリンの元へ移動した……。
「あ、プルさん」
カリンがプルに気付く。
「一緒して良いかしら?」
「もちろんです」
「正男さんと何話していたんですかー?」
カリンの一言にプルはドクンと一度心臓が跳ねた気がした。
「明日にでも帰るのか確認してたのよ」
「おー。正男さんなんて言ってました?」
オカの質問に、一度言い淀むが先程プルが感じた事を二人に話すのであった。
「えぇ……、なんか怖いですね……」
「そうなのよ……」
「プルさんは、それからこっちに?」
「えぇ」
オカ達三人は正男が入っていったテントを見つめる。
「実は俺、あのテントなんですよ……」
オカは不気味そうにテントを見る。
「ご愁傷様……」
「オカ君気をつけてね……」
「ちょっと、二人とも!」
二人の言葉で更に恐怖を感じたオカは顔を真っ青にして目線を戻した。
「あと一人パークさんも一緒で良かった」
それから三人はしばらく話した後にテントに戻る事になった。
「それじゃ、オカ君お休み」
「オカ、一人になるんじゃ無いわよ?」
女性二人はテントに入って行く。
「こ、こぇーよ……。パークさんと一緒にテントに入ろう」
オカはパークの所に向かった。
「お、オカか!」
「そ、そろそろ皆さん寝るみたいですよ」
「もう、そんな時間か。よし寝るか!」
パークの後ろを歩きながらテントに戻るオカ。
テントに入ると正男は既に寝袋に入って寝ている様だ。
「お? 正男さんは寝ているのか、なら俺達も寝るしか無いな」
「え、えぇ」
正男と話さないで済んだ事に安堵したのか、オカは直ぐに寝袋に入り寝に着くことにした。
他の者達も全員それぞれのテントに入り寝に入るのであった。
この日は何も起きず、皆が皆拍子抜けを喰らい明日には帰るんだなと思ったはずだが、次の日に、その何かが起きた……。
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