第七章 ババンババンバンバン、温泉へ
第21話 七瀬の妹、七瀬水玉(ナナセミズタマ)
遂に終わった。
一体、何が終わったかと言えば、長い間の因縁が終わったのだ。
俺は.....湊を殴り捨てそして手傷を負った湊はこの街から去り。
もう俺に関わる気は無いと断言したのだ。
親父のお陰もあって決断出来た。
これで良かったと思っている。
だがその戦いの後、俺は思いっきり七瀬と御白、そして鮎川に怒られた。
何故、私たちを頼ってくれなかったの、と。
俺を.....涙目で説教したのだ。
ただ俺は何も言えなかった。
巻き込みたく無かったからと説明しても、私達が頼られなかった事。
それがかなりショックの様だった。
俺は.....複雑な顔をして俯く。
その手を.....皆んなが静かに握ってくれた。
そして俺に向いてくれて.....そして.....こう話す。
次は頼ってほしい。
私達は貴方が失うのが怖いから、と。
俺はその言葉に静かに頷き。
そして涙を流した。
頼れる存在が居る事に.....涙が止まらなかったのだ。
俺は.....三人を見て、有難う、と。
一言、言った。
そして俺は湊と決着をつけた。
それで.....季節は廻り、今の季節になる。
五月の初め。
ゴールデンウィークに突入した。
☆
「色々有ったけど.....無事で良かった。ゆーちゃんが」
「.....そうだな」
リビングでそう話す、俺と七瀬。
ゴールデンウィーク二日目。
今日はうちの父親と母親は仕事だ。
その中で.....七瀬は紅茶を出してくる。
「ね?ゆーちゃん。決着祝いで.....皆んなと一緒にお出掛けしない?」
「.....例えば何処に行くんだ?」
「そうだね.....例えば.....隣町のデパートとか」
「.....分かった。明日でも行くか」
そうしてにこやかに過ごしていると。
インターフォンが鳴った。
見ると、鮎川と御白が立っている。
七瀬は返事して玄関まで行く。
それを俺も追った。
「こんにちは」
「こんにちはー」
「鮎川と御白.....どうしたんだ?」
鮎川と御白は顔を見合わせて、ニコッとして。
うん、えっとね、と話を切り出す。
鞄から何かを取り出す。
それは.....温泉のチケット.....というか旅館の宿泊チケットだった。
俺と七瀬は?を浮かべて顔を見合わせる。
そして鮎川と御白を見た。
「偶然会った御白ちゃんとやった商店街のガラガラで団体客用の.....宿泊チケットが当たっちゃったの。それで.....もし良かったら皆んなで行かない?私達だけじゃ行けないみたいだから」
「.....ですね。鮎川先輩」
「.....あー.....マジか。でもなぁ.....」
そういうのって親の許可とかが居るんじゃ無いか?
と思っていると良いんじゃ無い?と七瀬が俺に向いた。
そして笑みを見せる。
それから鮎川と御白に向く。
「許可、取れる?皆んな」
「.....わからないですね。私の親は.....」
「私は大丈夫だけど。何時も真面目にやっているからこういう事はたまになら許してくれると思う」
鮎川はそう言いながら.....御白を見る。
御白は.....うーん、と顎に手を添えて悩みながら。
でも、と声を出した。
そして皆んなを見つめる。
「.....大丈夫だと思います。皆さん、いらっしゃるし」
「.....そうか?.....そうなると後は.....菜々先輩か」
そこでハッとした様に七瀬が手を叩いた。
そして良い事を思いついたよとニコニコする。
俺は?を浮かべながら七瀬を見た。
「保護者代理で.....もし良かったら.....佐藤先生も誘わない?」
「無理が有るだろそれ」
と思いながら電話を掛ける。
すると佐藤先生は満更でも無い様子で返事をしてくれた。
大丈夫よー、という感じだ。
俺達は驚愕しながらスマホを見る。
マジかよ。
「.....じゃあ決まりだね。佐藤先生、菜々先輩、私、御白ちゃん、西ちゃん、ゆーちゃんだね。その人数で行けるの?」
「.....七人分のチケットが当たったからね.....ゴールデンウィークサービスで」
「ん?じゃあ後一人行けるじゃねーか」
思いながら.....顎に手を添える。
じゃあ後一人.....誰を誘う?
その様に思っていると.....七瀬がじゃあ、一人誘って良いかな。
とその様に話を切り出した。
「.....私の妹だけどね」
「.....お前に妹が居たのか?」
「うん。私が水色。妹は水玉だよ」
七瀬はニコニコしながら俺に言う。
水玉か.....。
何年生の子なんだろうか、と思いながら.....考える。
その中で御白が微笑みながら話す。
「七瀬水玉.....良い名前ですね」
「.....でしょ。久々に会おうかなって思って。あ、彼女は高一だよ」
「.....お前、妹と仲が良いって事は.....ご両親とも仲が良いのか?」
そして聞いたが。
あ、えっと、と反応された。
それから控えめな笑みを俺に向ける。
首を振った。
「.....良く無いよ。仲は。妹とは仲が良いけどね」
「.....!」
七瀬の見た事の無い顔だった。
俺は.....その顔を見てそれ以上、何も聞かず。
皆んなの話を聞いていた。
因みに菜々先輩もオーケーだそうだ。
俺は.....良かったと思いながら.....出発日の明後日を待った。
しかし予想外だな。
温泉に向かうなんて、だ。
俺は思いながら.....水玉さんの事を考えた。
どういう人なのだろうか、と思いながら。
☆
「不潔です!!!!!」
翌日。
玄関先で.....そんな感じのやり取りがあっていた。
いきなりそんな事を言われるとは.....と思いながら七瀬を見る。
水玉さん。
七瀬と同じ様な長髪ながらも.....背後にカチューシャを着けている。
そして何より.....顔立ちが可愛かった。
凛としながらも花が有る。
そんな感じで.....俺を汚物の様に見ていた。
オイ。
「.....えっと.....七瀬。この子は.....」
「水玉だよ。私の妹。あはは」
いきなり初対面で不潔と言い放ち。
汚物を見る様な目。
これは如何なものか。
と思いながら頭を掻くと、ビシッと指を差された。
そしてクワッと目を尖らせて俺に宣言する様に話す。
「お姉ちゃんの事を憶えてないそうですね貴方」
「.....あ?ああ.....まあ」
「じゃあお姉ちゃんがここにお嫁入りに来た理由が無いです!.....ハッ!.....貴方は記憶が無いからとお姉ちゃんを毒牙にかけるんでしょう!?不潔です!!!!!」
「.....いや、あのな.....」
なんでそうなる.....。
厄介なのがまた増えたな.....。
俺は思いながら.....玄関先で靴を脱ぐ水玉さんを見ていると。
荷物が倒れた。
そしてそれを拾おうとした水玉さんが靴を脱いでいる途中なのを忘れて蹌踉めいて倒れ出す。
俺は見開いた。
「危ねぇ!」
そして俺は水玉さんをお姫様抱っこした。
そんな形になるしか無くだったが。
咄嗟の事に.....目をパチクリする、七瀬と水玉さん。
それから水玉さんがハッとして真っ赤に赤面していく。
七瀬から黒いオーラが吹き.....
「いやぁーーーーー!!!!!変態ぃ!!!!!」
だけど予想外だった。
胸を隠しながら。
思いっきりバチコーン!と平手打ちの音が鳴ったのだ。
水玉さんの手によって、だ。
頬ってそんな音が鳴るのかよという感じの音を聞きながら俺はグァ!と声を発して後ろにぶっ倒れ頭を強打した。
七瀬が、こ、コラ!水玉!と説教するけど.....遅いぞ。
いや、割とマジに前途多難の様な気がしてきた.....。
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