第4話 部活の下見

例えばの話をする。

この世界の概念の全部がいきなり変わってしまって.....俺だけが別の記憶を持ってしまっていて.....それで変わってしまった世界についていけない。

それはまるでユートピアの様な世界。


そんな事って有りそうで無い気がすると思うだろ?

でも有ったんだ。

現在がそんな気がする。


俺は.....とある美少女、七瀬水色に心から好かれている。

だけど.....俺は全く七瀬に覚えが無く知らないし、恋をされる覚えが無い。

でも親父もお袋も.....七瀬と親しい。

しかし幾ら考えても俺は彼女を思い出せないのだ。


まさに先ほど挙げた俺だけが別世界に迷い込んだ様な感じだ。

俺は.....目の前の七瀬を見ながら。

作ってきたという、弁当を食す。

しかし本当に料理が上手いな、料亭の食事の様だ。


周りの死ねという視線さえなければ最高なんだけどな。

思いながら.....盛大に溜息を吐く。

すると.....七瀬がニコニコしながら俺に聞いてきた。

美味しい?と、だ。

俺は少しだけ赤面しながら.....そうだな、と答える。


本当にコイツは.....可愛い。

思いながら.....俺は恥ずかしさ故に顔を逸らしていると。

あ、お弁当が付いてる。

と七瀬が言った。


それから.....俺の顔の至近距離まで顔を寄せてくる。

俺はトマトが熟した様に赤面する。

米がついていた様だが.....!?

俺は振り払う。


「あ、ありがとう。だけどその、マジで恥ずいから」


「あ、恥ずかしいんだ?えへへ。嬉しいな。一緒だね」


「.....そ、そうか」


恥ずかしいならやるなよ。

思いながら.....俺は拭う。

そして.....ニコッと微笑む七瀬を見つつ溜息を吐いたが。

七瀬は全く気にする素振りも見せず、あ、と声を発した。


「あのね。ゆーちゃん。学校の中を案内して?」


「そ、それは女の子の友達に頼ったら.....」


「何で?ゆーちゃんが良いな。私」


「.....ハァ.....分かった。仕方が無いな。案内してやるよ」


俺は盛大に溜息を吐きながら七瀬を見る。

七瀬はやったね、という感じで笑顔を見せた。

その様子を見ながら俺も少しだけ口角を上げる。

全く.....嫌味が無いんだからな.....困ったものだ。


「良さげな雰囲気だね」


「.....鮎川?どうしたんだ」


「いいや。君が嬉しそうだからね」


「.....そうだな」


ね、七瀬さん。あ、いや。

ななみんって呼んでいい?と鮎川は言う。

その言葉に七瀬は目を丸くする。

それから.....七瀬は控えめながらも笑んだ。


「.....いいよ。じゃあ私もあゆちゃんって呼んでいい?」


「うんうん。それ良いね。友達になって」


「うん」


俺はその光景を見ながら.....笑みを溢した。

本当に何だか落ち着いているな。

思いつついると、鮎川が、あ、そうだ。

と何らかの記載の有るプリントを出した。


「あのね、用件があってね。.....ななみん、が部活に入らないかってお誘いなんだけど」


「.....部活?お前、部活やってんのか?」


「私はやってないよ。生徒会だからね。でも、ななみん、は良いんじゃ無いかなって思って」


「私.....?」


そう、ななみん。

何だか.....前の学校じゃ成績優秀だって聞いたよ?

だから運動神経も良いんじゃ無いかって思って。

と鮎川は笑顔で言う。

七瀬は顎に手を添えながら.....俺をチラッと見た。


「じゃあ.....ゆーちゃんが入るなら.....」


「.....何で俺基準なんだ。あのな.....」


「あ、それ良いかも。ななみん。是非誘ってよ。長谷部くん」


「.....あのな.....鮎川.....」


良いじゃん。次いでに入ったら。

とニヤニヤする、鮎川。

俺は困惑の顔になる。


そんな滅茶苦茶な、理論が通用すると思うのか.....。

俺は絶対に部活に入らんぞ。

ボッチ道を貫くんだからな.....。


「ゆーちゃん。入ろ?楽しいよ。きっと」


「.....俺はボッチだからな」


「そんな理念は通用しないよ。いつまでもね」


「.....ハァ.....」


頭に手を添えて。

そして俺は.....七瀬に無理矢理、誘われ。

放課後に部活の下見に出掛ける事になった。

運動部とかそういう系だ。


全く何で俺がそんな事を.....。

と思いながらも。

少しだけ部活に興味は有ったので.....嫌気は50%ぐらいだった。

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