第21話 ナウマン教団 VS モミアゲ一味
ナウマン教団とモミアゲ一味の決戦の地、ツチノコ盆地。4Kに奪われるまで、ジャポニカン王国以外の国々を支配下に置いていたナウマン教団。その教団に、世界最強の男モミアゲと彼の一味が挑む世紀の決戦、まもなく開始。
モミアゲ一味は前日から陣取って待ち構えている。総勢百名といったところか。そこへ、カピバラのバッピーを人質に取っているナウマン教の一団がやって来て陣取る。こちらはウマシカと幹部全員、それにハエ男とおよそ数十匹のモンスター。ドクターがバッピーのリードを握っている。
「メエエエエーー」鳴くバッピー。
しばらく睨み合いが続いた後、モミアゲが先頭に立ち叫ぶ。
「バッピーを返せ!」
ナウマン教陣営はしかとする。
「あいつ、罠だとは思わんのか?」とウマシカ。
「まさか、本当に来るとはな」バカ犬。
「普通来るやろ、かわいいペットを取り返すために来とるんや」アホ雉。
「まあ、おいらだったら、来ないな。絶対罠だと思うじゃん。あいつ、アホだな」クソ猿。
「あいつはアホと違うわ。お前みたいなクソには、ペットとの絆なんかわからんやろな」アホ雉。
「何だと、アホからクソと言われる筋合いはない。バナナ食うか?」クソ猿。
「いらんわ」アホ雉。
「あっそ」クソ猿はバナナの皮を投げ捨てた。
「あっ、バナナ。ハヘー、ハヘー」ハエ男はバナナの皮の方へ飛んで行った。
「おい、ハエの悪魔よ! ぐぬぬ、毎回毎回気まぐれな奴め!」
「ウマシカ様、ハエの悪魔がいなくとも大丈夫です」ドクター。
「うむ」
モミアゲ一味は様子をうかがっている。
「ナウマン教よ! バッピーを俺に返すか、それとも、俺にやられるか、どちらかだ!」
「お前のペットは返さぬわ!」ウマシカが言い返した。
「じゃあ、遠慮なく暴れてやるぜ! やれ、野郎ども!」モミアゲが手下に命令した。
「おう!」
戦闘開始だ。
モミアゲの手下たちがナウマン教団に向かって突撃する。ウマシカたちの前には数十匹のモンスターがいる。激突!
手下たちは全員が格闘家だ。彼らは素早い動きでモンスターの攻撃をかわしながら戦っている。あっという間にほとんどのモンスターを倒してしまった。
「やりおるな、モンスターがほとんどやられてもうたがな」アホ雉。
「あれ? ハエの悪魔がどっか行ったから、モンスター増やせないじゃんか」クソ猿。
「雑魚どもが! 俺の熱い拳、受けてみろ、おりゃああ!」バカ犬が手下らを攻撃する。
速い速い。手下らよりもパワフルで、速い。手下らは攻撃をバカ犬に当てられずに、バカ犬から的確に攻撃を食らっていく。
「うわああ!」
「回復魔法!」モミアゲが唱えた。
手下らの傷が塞がり、体力が回復していく。
3バカトリオはウマシカの方を見た。ウマシカが杖を高く掲げているのを見て、三人とも岩の後ろに飛び込んだ。
「風魔法!」
ウマシカが魔法を唱えた。強風が吹き荒れる。手下らは、数メートル上へ巻き上げられたり、数十メートル向こうへ吹き飛ばされたりして、地面に体を打ちつける。
「うわああ!」
「回復魔法!」
モミアゲの魔法で手下らのケガが回復する。しかし数人が倒れて動かない。
「これでは中々決着がつかへんな」アホ雉。
だが、回復魔法が間に合わずに倒れて行く手下らもいる。
そこにコニタン一行が到着する。
「おい、すごい戦闘だ」すぺるん。
「隠れよう」ハリー。
見つからないように岩陰に隠れる一行。
「ウッキッキッキー!」クソ猿も攻撃を始めた。
小型のブーメランを投げて、数名の手下らに命中。
「うわああ!」
「回復魔法!」
手下らのケガが回復する。ここで、バカ犬とクソ猿がアイコンタクト。二人は猛攻撃を始める。
「おりゃああ!」
「ウッキッキッキー!」
モミアゲが回復魔法を唱えるが、それが追いつかないくらいの速さで手下らは深手を負わされる。手下らは、まだ残っているモンスターたちの攻撃も合わせて受け続ける。
「うわああ!」
「ケガが治るよりも早く攻撃か」モミアゲ。
バカ犬とクソ猿の動きは速い、モミアゲの手下たちよりも圧倒的に速い。二人は、体力が減っている手下を優先的に攻撃して、敵の数を減らしていく。効率的なやり方だ。
わずか数分で、モミアゲの手下らは全員戦闘不能状態になった。
「後はお前だけだ、モミアゲ」バカ犬。
「ふん、俺は世界最強の男だ。かかってきやがれ!」
「くらえ、モミアゲ! おりゃああ!」
「ウッキッキッキー!」
モミアゲは二人がかりの攻撃をかわしまくる。
「どりゃああああ!」
モミアゲは右腕を一振りし、一度に二人を殴り飛ばした。
「うぐああ!」バカ犬もクソ猿も立ち上がれない。
「おいらよりもすばしっこいぜ」クソ猿。
「モミアゲめ、二人相手にやりおるわ」ウマシカ。
「わても行かなあかんか。とりゃー」アホ雉が戦闘に参加する。
モミアゲに向かって走り出すが、つまずいてこけて、地面で顔面を強打。
「あ痛たたた! くそ、顔ぶつけてもうた。あっ鼻血が出てきたわ。何かで拭かなあかんわ。ハンカチがないから、服で拭く……服で拭く……」
「……寒っ」ウマシカがおやじギャグで寒気を感じた。
「氷結魔法!」
「くだらん!」モミアゲは冷気を払いのける。
「どうや、寒いやろ。あんさんの動きは確実に遅なるで」
「おりゃああ!」
「ウッキッキッキー! バナナブーメラン!」
バカ犬とクソ猿が攻撃を開始。
「こしゃくな! ふん!」モミアゲはパンチを3発繰り出す。
「うわあああ!」三人全員殴り飛ばされた。
「三人がかりでも敵わぬのか」ウマシカ。
「俺は、世界最強だ!」
3バカトリオは起き上がって構えるが、攻撃できない。
「ウマシカ様、そろそろ奥の手を出しましょうか」ドクター。
「うむ」ウマシカ。
バカ犬とクソ猿が攻撃する。
「おりゃああ!」
「ウッキッキッキー!」
「ふん!」モミアゲの強烈なパンチが二人に命中。
二人とも殴り飛ばされて起き上がれない。
突然、気温が低下したのを皆が感じた。同時に辺りが薄暗くなってきた。そして、音がしてくる。
ぴしゃ……ぴしゃ……
水がはねる音だ。
「何や、雨か?」アホ雉。
どこからか、鳴き声が聞こえてくる。
「ケロケロ、ケロケロ」
ウマシカと、現在戦闘中の四人との中間くらいの場所に、カエルの覆面をした男がしゃがんでいる。3バカトリオとモミアゲはその男に気づいた。
そして突然、激しい雨が降り出した。大量の水が流れてくる。
「何やこの突然の雨は。洪水や!」アホ雉。
「くそー、足を取られて動けねえ!」クソ猿。
「ケロケロ、ケロケロ」
雨が強くなっていく。ここツチノコ盆地は水の溜まりやすい地形になっているため、
「はっはっはっ! でかしたぞ、カエルの悪魔よ! 世界最強の男、モミアゲ。職業は僧侶であるが、空手をマスターした格闘家でもある。この男の強さは敵の攻撃をかわすその素早さにある。素早い動きを封じてしまえば攻撃を当てることができる」ドクター。
「三人で袋叩きにしてしまえ!」ウマシカ。
「おりゃああ!」
3バカトリオは一斉に攻撃する。しかし、モミアゲは上半身を自由に動かしながら攻撃をかわす。そして的確にパンチを出し、3バカトリオを殴りつける。袋叩きどころか、返り討ちだ。
「やりおるな、モミアゲ」ウマシカ。
「カエルの悪魔よ、もっと雨を呼べ!」ドクター。
「ケロケロ、ケロケロ」
「ドクター、奥の手って、この水かよ? こっちも動きづらいじゃんか!」クソ猿。
「甘いな、奥の手はカエルの悪魔じゃない、こいつだ!」
ドクターが指差す方向に、一人の男が現れた。鎧、兜、盾で全身完全防備し、剣を背負い、槍を持った戦士だ。
「何だと! エンドー!」驚くモミアゲ。
そう、この戦士こそ、4Kのエンドーである。
「久しぶりだな、モミアゲ!」エンドー。
「なぜここに」
「お前を倒すためだ! お前を倒して、世界最強の称号を手に入れてやる! 俺にかかればお前は終わりだ、ジ・エンドだ!」
「兜をかぶってくれてありがとうよ、エンドー。おかげでお前のキモい顔を見ずに済むな」
「お前のほうがキモいわ! タンクトップとホットパンツはやめろ! 揉み上げ伸ばすな!」
お互いに
「くそ、動けん!」
「覚悟しろ、モミアゲ!」
エンドーは間合いをとり、槍で突き続ける。重く長い槍を軽々と操るエンドー。モミアゲはガントレットで槍をさばくしかない。数十回、槍を防いだせいで、ガントレットが割れた。左右両方ともだ。モミアゲは、エンドーが突いてきた槍を脇に挟んで止めた。槍を引き戻そうとするエンドー、させまいとするモミアゲ。エンドーは槍を離して、背負っている剣を素早く抜いて斬りかかる。モミアゲは何とかぎりぎりかわす。ひたすらエンドーは剣を振り続ける。間合いが近くなったとはいえ、エンドーが持つ巨大な盾が邪魔になり、モミアゲは反撃しようにもできない。
「ぐぬぬぬぬ!」焦るモミアゲ。
コニタン一行は息を凝らしながら見ている。
「おい、ヤバいぞモミアゲ、かわせなくなったら終わりだ」すぺるん。
「くたばれ、モミアゲ!」
エンドーが力いっぱい剣を振り下ろした。モミアゲの左胸に剣先が食い込んだ。エンドーは力を込めて剣を押し込む。
「うぐぐああああ!」
モミアゲは素手で剣を掴んで押し戻そうとするが、エンドーは力一杯剣を押す。仮に力の差があったとしても、押すほうが有利だ。そして、モミアゲは剣を抜こうとする体勢のまま動かなくなった。
「ジ・エンドだ、モミアゲ」エンドーは剣を引い抜いた。
世界最強と言われてきた男が、絶命した。
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