第18話 第2次試験内容公開
「――次の試験はこういう感じで、いいんだね?」
「何だかいつも通りじゃねぇか?」
カバムはエルマに言う。
「しょうがない、一応今年だけの独自性はある」
「そうね......今更そんなに大きくは変えられないもの、オルイア様は?」
ネレイアイはエルマに賛同して獣人の男、オルイアに話しを振る。
「まぁ、仕方ないと思います、エルマさんでは......」
「あぁ、この内容をウンタルの会場に」
第2次試験の内容が決まった。
カバムは要は済んだといった様子で部屋を後にしていく。
エルマも部屋を後にしようとすると
「エルマ様」
ネレイアイは出て行こうとするエルマに話しかけた。
「試験はうまくいくと思う?」
「......出鼻を挫かれてるからね」
「大丈夫ですよ、成功させるために私達がこうやって頑張ってるんです、もちろん現地の魔導師達だってね」
オルイアはそういうがエルマはまだ不安気であった。
「正直だれが内容を漏らしたのかがわからない以上安心はできないよ」
「そうですね、今日来なかったものもいる、もちろん私達のだれかも......」
「ふふふ......わたくしなんかそういうの大得意で大好きだから......」
ネレイアイはイタズラするような目つきでエルマを見る。
「ふふふ......もしかしたらわたくしが......」
「それは怖いですね!エルマさん、これは大変ですよ!」
「あぁあぁ、もうやめてくれ!全く、今日は疲れたから休ませてもらうよ?」
「ふふふ......エルマ様はお疲れでしょう、どうぞごゆるりとお休みになってね......」
「そうですね、私達は準備に向かうとしましょう」
エルマは疲れを癒すために、オルイアとネレイアイは試験の準備のために移動するであった。
◆◇◆◇
ヘイブは殺されて翌日、クラトスの病室にはグラデルがいた。
「ヘイブが......殺されてしまったな......」
グラデルがその事を言うとクラトスは
「ラナの様子は?」
クラトスはラナの様子が心配であった。
「今ラナはガルフと共にアルの所にいってるぞ!」
「そうか」
「もう少ししたら此処にアリスとナイミア、ドネイも来るだろう!」
クラトスは腕を組んで何かを考え込むとグラデルになぜヘイブが殺されたのかを聞くことにした。
「なぁヘイブはなんで殺されたんだ?」
「なぜか......確証はないが、少し心当たりはある!」
「あっあるのか?」
意外な返答にクラトスは驚く。
「ヘイブが薬を飲んで姿が変わった事は話したが!私はその薬を昔見たことがある!あぁ忘れるわけがない、あれは20年前のイオブ戦争の時に使われたものだ!」
「い......イオブ?」
「ん?知らないか、20年前までイオブという国があった、そんな国の遺跡が発端となり起きたのがイオブ戦争だ!」
「へぇ、全く知らなかった、」
「その戦争では例の薬を使用した兵士が大量に生まれた!しかしそれ以降薬はその効果はおろか存在も抹消されたのだ!なのにヘイブは持っていた!」
グラデルは熱く語ったためクラトスは押され気味になる。
「そっそんな薬が原因でヘイブが殺されたと?」
「かもしれん!わからないことが多いからな!」
クラトスはグラデルが説明説明した内容から一つ疑問がわく。
「なんでそんなことグラデルは知ってんだ?」
「それは――」
「オッス!クラトス!」
「元気かしらクラトス?」
「あのぉ、少し静かにしたほうがぁ......」
グラデルが何かを話そうとしたときドネイとアリス、ナイミアがぞろぞろと現れた。
「おっと、そうだったそうだった!実はクラトスに助けられたお礼をしようと話し合っていたんだ!」
グラデルは思い出したかのように話す。
「うううう、ホントはラナちゃんとガルフさんも一緒に来る予定でしたぁ」
「しゃーない、あんなことあったしアルの所にいたほうがいいだろ、あっ問題は無いぞ、ラナ達の分は買ってある!」
「さぁさぁ、クラトスが好きなものわからなかったから私の好きなもの買ったわ!」
「まだ第1次試験突破しただけだぞ......」
クラトスはお見舞い兼お礼の品を渡される。
「おぉ!みんなありがとう!」
「喜んでくれたようで私はうれしいわ、あっでもこんなにあったら持ち帰るの大変ね......」
「あぁぁぁぁ、そういえばそうでしたぁ」
「大丈夫だ貰い物は大切に持ち帰る」
クラトス達は話をしていると......。
リンリン リンリン
鐘を鳴らしながら歩き回る魔導師が病院の外に現れた。
「おーい!第1次試験を突破した魔導師達にお知らせだぁ!」
どうたら魔導師試験関係の事であるようだ。
「第2次試験の内容がウンタル会場にて公開!公開!」
「っマジか!ッイタ!」
クラトスは急いで走ろうとするが今だに体が痛くて走ることはできない。
「まだ治っていないのだから」
「クソ!ヘルダーに最後に投げられたダメージがまだ......」
クラトスとアルは第1次試験の最後ヘルダーの魔法によって投げられた際に思いきり体を木にぶつけていた、そのダメージは思ったより大きく今も体を痛めていた。
「ではぁウンタルの会場まで私が行ってまいりますぅ」
ナイミアが会場まで行って内容を見てくると言って病室を出て行った。
「次の試験内容はどんなものか......」
クラトスはエルマが次は何を考えているのか、第2次試験はどのようなものになるのか不安も確かにあったが、わくわくしている自分も確かにあった。
◆◇◆◇
ウンタル会場
試験を受ける際にエントリーしたところで現在は人でごった返していた。
「わぁわぁ、すみませんすみません」
ナイミアそんな中グイグイと押し込んでどうにか第2次試験の内容を見ようとする。
「えぇとえぇと......」
ナイミアは眼鏡を直しながら目を凝らしてみていく。
「ん?ん?ん~??」
ナイミア何とも言えぬ声を出すのであった。
◆◇◆◇
「ナイミアまだか......」
「ふぅむ、まぁ混みあうことは予想できるからな!」
「私眠いわ、ドネイ一発芸してくださる?」
「いやだ!」
ナイミアを待っていると。
「はぁはぁ、みっ見てきましたよぉ」
ナイミアが走ってきた。
「はぁ......はぁ......なっ内容は......」
「おいおい落ち着け、深呼吸だ深呼吸」
ナイミアは焦って話そうとするがクラトスは落ち着かせる。
「すぅ~はぁ~すぅ~はぁ~」
ナイミアは深く深呼吸をする。
「落ち着いたか?」
「はいぃ~落ち着きましたぁ」
「それで内容は?」
「そっそうだ内容は!?」
「なっ内容は......内容はぁ」
「もったいぶんな!ナイミア!」
「うっうるさいです!ドネイさん!」
みんな興味津々といった様子でナイミアを見る。
「内容は......第1次試験保有していた
「......む?」
「ナイミアそれだけか?」
「はい、ちゃんと5回は見直しましたぁ」
ある意味拍子抜けする内容であった、エルマが考えることであるからもっとややこしいものになると予想していたのだ。
「持っていたPなんて覚えてねぇぞ......後半は乱戦だったし」
「なるほど、例年に近いのは嬉しいが......」
それぞれが考え込んでいる間、アリスは特に関心もない様子で座っていた。
「アリス、どれだけ殺したか覚えてるか?」
「いえ?全然覚えていないわ?」
「......お前と戦う奴はきっと強者だぞ?気をつけろよ?」
「あら、私を心配してくれてるのかしら?ありがとう親切なクラトス」
クラトスはアリスと出会いわかったが、アリスは人を殺すという行為になんの忌避感も感じていないだけであった。そして優しさも持っていた頭を優先的に狙うのはそれこそ楽に殺してあげるというアリスなりの優しさの結果なのだろう。
「ラナ達にも知らせねば!」
「あぁ、そうだな、よしナイミア!行け!」
「えっ!?また私ですかぁぁ!?」
「冗談だ」
「よし、ラナ達に伝える勤めは私が果たそう!」
グラデルが行くことになった。
「あっそういえばいつどこでやるんだ?そのこともガルフ達に伝えておいたほうがいいだろう?」
「むっそうだ!聞いていなかった!」
「あぁ、そうでした、えっと第2次試験は今日から3日後ですぅ」
「3日後......俺は明日退院予定だから、問題ないか」
「後は場所ですが......」
その場所は以外な場所であった。
「アーシア区です、アーシア区ですぅ」
「アーシア区......ここから列車で3時間くらいか!」
「案外近くて助かったぜ、国を超えろとか言われてたら困るとこだった」
グラデルとドネイがその場所聞いて話し合っている中。
「あら?クラトス、どうしたのかしら?」
「驚いているな、どうしたのだクラトス!」
アリスとグラデルは驚いているクラトスの方を見る。何せクラトスの実家の場所を皆知らないのだから。
「アーシア区ってなぁ俺の家がある場所だ」
そのことを聞くとそれぞれの反応が返ってきた。
「なっなんと!?」
「おぉ、試験場の近くに家とか羨ましいぜ」
「ひえぇ、以外な偶然ですねぇ」
「クラトスの家ってどんなところなのかしら?私見てみたいわ!」
「そんなにがっつかれる話題か......?」
次の試験会場は決まった、それは3日後のアーシア区
内容は単純だ。第1次試験で溜めたPと近いもの同士が戦い合うというものである。
果たしてこの先どうなるのか、クラトス一行の運命は――!?
つづく
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