第14話 第1次試験 お食事タイム
無情の森 旧試験塔
「はぁ......はぁ......ようやく1階に到着だな」
次々と出てくる魔導師と凍った階段と格闘しつつ降りて行ったクラトス一行どうにか1階まで降りきることができた。
「はぁはぁ......みんなはいるな?」
「我はいる」
「あぁ......俺もいるぜぇ」
「私もいますぅ」
みんなそれぞれ返事をする中アリスも返事をする。
「私もいるわ」
全員の無事を確認したクラトスは塔ので出口へ向かう。
「......お?」
「クラトスさん!ガルフさん!」
「おー!全員無事か!」
ラナとグラデルも塔の近くにおりいてちょうどよく再開することができた。
「その娘は......」
グラデルはアリスを見る血糊が付いている服はグラデルの眉を皺める。
「アリス=オネロだ」
「貴方もクラトスとお仲間なのね?私とも仲良くしてくださいな」
「あっああ」
グラデルとクラトスが話していると......
「今から言う言葉をきちんと聞いてほしい」
無情の森に響き渡る音声でエルマが話す。
「第1試験についてだ、僕は80時間と言ったがその時間を変更とする」
クラトス一行は困惑する。
「現在の時刻は14時だ、24時までに君たちが最初に集まった広場まで戻ってきなさい、以上」
言うことを言うと何も聞こえなくなった。
「ひぃぃ、くっクラトスさん、やばいですぅ急がないと......」
「おいおい、今からってことは魔導師同士と鉢合わせするだろ......やべぇ!クラトスどうすればいい!?」
「やめろやめろおまえら俺の両腕を掴むな!」
ドネイとナイミアはクラトスの両腕を掴んでどうすればいいか聞くがクラトス自身もどうすればいいのかがわからない、言われた通り行くべきだろうがいあmすぐ行けばありとあらゆる魔導師と鉢合わせすることになる、だが遅くいけば魔導師との戦いの末間に合わなくなる可能性もある。
「我は今は待つべきだと思う」
「私も同じ考えだな!」
ガルフとグラデルは冷静に混戦が予想される出口に今すぐには行かず時間をおいて待つべきだと提案した。
「そっそれにアルもいるわ!アルを探さないと」
ラナがアルの話題をだすとクラトスも疑問に思っていたことをラナに聞く。
「アルと言えばヘイブはどうしたんだ?」
「えっと」
ラナはクラトスと別れた後何が起きたのかを細かく話した。
「そういうことか......」
「ヘイブはリタイアをして転移するまで見届けたから大丈夫だ!」
「そうか......後はアルを探さないといけないのか......」
話しによればアルはラナを守るためにポドと一人で戦いの臨んだらしい。
クラトスはポドと戦い相手の強さを知っている、アルが勝つのは難しいだろうと、アルの実力はわからないがポドは歴戦の魔導師であるのに対してアルは戦いをメインにしたことのない魔導師。分が悪い、そう感じざる得なかった。
「そうだなアルを探そう」
「ええ!」
だがそれをラナに言うことはしなかった、いやできなかった、まだ確定していない事でラナを悲しませる必要はないだろうと考えたのだ。
「では当面はアルの捜索であるか」
ガルフやグラデルも納得した。
「他のみんなは?」
クラトスはドネイ、ナイミア、アリスにも聞く。
「俺はいいぜ!」
「私も、問題ないです」
「アリスは?」
最後にアリスの方を向くクラトス、アリスは顎に指をつけ考えると
「私もいいわ!」
「そいつはよかった」
アリスは一人にすればまた何をするかわからない、できるだけ一緒にいておきたいとクラトスは考えていた。
こうしてゴール地点にはまだ向かわずにアルを探すこととなった。
エルマが終了時刻を大幅に早めたことで無情の森は混沌となっていた、
そんな森の中長い黒髪たなびかせて森の中を駆け抜けているのはヘルダーであった。
「邪魔だぁ!」
ヘルダーはそんな迫りくる魔導師を蹴散らしながら進んでいた。
「まさか試験の内容を変えてくるとはな」
ポドとは電話をしてもつながらない。
「(ポドが負けるとは考えにくいが......)」
ヘルダーとポドは非正規として魔導師の活動をしていたが今回の依頼を機に試験に受けていた、非正規として長く働いていた彼らにとって魔導師試験というのは油断こそしなければ負けるはずのないものであった。
「(だが今年は強者が多い......)」
ヘルダーは今回の試験に入っていて疑問に感じていたことがあった、それは
「(やはり、どこにもいない......)」
魔物の数の少なさである。狩尽くされた可能性もゼロではないが、それにしても少ないいや見ていない者の方が多いであろう。
「(勘のいい魔導師は森に入る前からPは溜めていたが......)」
エルマが意図的に魔物のいない状態を作り上げたという可能性もあるだろう、だが元々原生生物として魔物がいる森から消すことなどできるのであろうか......。
「考えても仕方がない......ん?」
男は木の陰に隠れている魔導師を見つけた、いつもなら素通りするのだが
「あの魔導師は......」
その魔導師には見覚えがあった、ラナと共にいた魔導師の一人
「お前は......」
「っ!?」
その魔導師は負傷しているようだった顔や体は火傷と痣で、頭からは血が流れている、おそらく戦闘行為が困難であったために隠れて過ごしていたのだろう。
「うっクソ!」
「待てお前と戦う気はない」
その魔導師は戦闘態勢を取ろうとするがヘルダーはその魔導師を静止する。
「な?それはどういう」
「名前は?」
「......アル=ケアです」
「俺はヘルダー=アッエス、早速だがお前に聞いておきたいことがある」
「......話せる範囲ならば」
「とりあえずだ、ポドという魔導師、お前が戦ったであろう魔導師はどこにいる?」
「お嬢さまを狙っていた......?」
「あぁ多分なラナ=ポデュンノを狙っていたやせ細った魔導師だ」
アルはどんどん顔を青くさせていく
「......どうした、もしやお前が倒したのか?」
魔導師試験では時折強力な魔導師が現れる、負ける理由を考えればそれだが、アルという魔導師がポドを殺せるほどの実力者には見えない。しかしポドはよく慢心してしまう癖もある、負ける理由として考えられるのはそれだった。
「仮に倒していたとしても報復などはしない」
ヘルダーは別にポドと仲が良いわけでもない、今回は単純に依頼が同じだっただけである。
「いえ......そのポドという魔導師とは戦いました......そして時間をどうにか稼いで、日が沈み始めた頃でした......」
アルは何があったのかをヘルダーに話し始めた。
―――
――
―
アルはポドをラナの元に向かわせないように攻撃を加えながらも逃げるという行為を臨機応変に行い、ポドをかく乱していた。
そのように時間を稼いでいると空はオレンジ色になり始めていた。
「小賢しい、小賢しいですねぇ......『フレイム・アロー』」
「『エアロ・サークル』」
炎の弓がアルに向かって襲い掛かると風の魔法を自身を中心にして発動することで炎の弓を封殺する。
「いまだ!」
「っしまった!」
アルは長期戦とポドの攻撃によって体力と集中力が低下してしまっていたため、ポドの魔力の根に捕まってしまった。
「さんざん時間を無駄に使わせるなんて許せない、許せませんねぇ」
ポドは炎の塊を作り始める。
「竜の男との戦いで薬は使いましたからねぇ、貴方の灰を薬にしてしまいましょうか......」
「くっ『トルネイド・ブラスト』」
「無駄無駄ァ」
竜巻は炎の塊に吸い込まれていく。
そしてどんどん大きくなる炎の塊、そして
「さぁ、さっさと終わらせてラナを探させていただきましょうか!」
「うっ、すみませんお嬢様......私は......」
アルは諦めて目を瞑る。
「さらばだ!『炎の小せ――グアッ!?」
「え?」
ポドの予想外の声に驚いて目を開く、炎の塊は萎んでいき、ポドの体が鋭い何かに貫かれていた。
「な......気づけな――っ!」
ポドは全てを言う前にピンクの刃物のような物が首を刎ねられる。
「......?」
ポドの体をピンクの何かは引っ張っていく。アルは何も考えることが出来なかった、何が起きているのかそれが何なのか、だが何なのかの答えはすぐにわかることになる。
「すっスライム......?」
ピンク色のスライムというには状態が異様であった、本来のスライムは体がゼリー状なのに対してこのスライムの体は完全に液体でゼリー状なのは一部である。触手のようなものと黄色いコアのようなものを囲うのがゼリー状であった。触手の動きはあがくミルワームの様で嫌悪感を覚える。そしてその様はまるで獲物を探しているかのように思えた。
「やばい、逃げないと......」
足がすくみ動かない、しかしアルが動かなかったのは幸いであった、
「な?なんだ!」
不幸にもたまたま出くわしてしまったのだろう、その魔導師は逃げようとするが
シュルルル
その魔導師の方に数多の触手が向かっていく、本体と思わしきコアはかなり遅い、液体はコアを中心に動いているようで、段差なども上がることが出来ていた。
「やっやめろぉぉぉ!」
触手は体を絡まり逃げることはできなかったようだ。
「......」
アルは茫然と見ている、この魔物が完全な格上であることが今のでわかってしまった、ただ生きる事を考え、見捨てるという決断に至った。
「おい、助けてくれ!」
「......」
その魔導師はどうにか魔法をスライムに撃つが効いているのか効いていないのかもわからない、ズルズル、ズルズルと引きずり込まれていく。
「みっ見捨てるのかよおぉ!?」
「......ッ!」
男は泣きながらアルに訴えかけるがアルは目を瞑り耳を塞ぐ。男は地面に爪を立てて木の根などに引っ掛けようとするがスライムの力に負ける、爪は剥がれていく、
男は爪が剥がれた痛みそしてこれから待ち受けるであろう出来事。現状が死へ向かっていることを理解したくなくとも理解してしまうことに絶望する。
「あっあああ!」
触手はどんどん引きずり込んでいき、ついに液体に浸かっていく。
「ギャァァァ、助けてくれぇ、お母ああああさあああああん!!」
「っ!」
アルはその言葉に動き出しそうになるが理性が勝ち結局動くことはない、男からジュュュュという音が出始めると溶けていくのが目に見えてわかった。
「アッアッアッ」
「(......消化液のようなものなのか?)」
冷静に分析する、それは実際現実逃避のようなものだった。
溶かされていく男が骨も残さずに消えていく。
そのスライムは何となくだが液体の部分が大きくなったように思えた、そして触手をクネクネとしながらゆっくりとゆっくりと森の中を進んいく様をただただアルは見ているだけだった。
―――
――
―
「――こういうがあったんです......」
その事を聞いたヘルダーは少し焦りの色を見せた。
「(なんだそんなスライム見たことも聞いたこともない......突然変異種か?)」
アルの言葉からだけでも尋常ではないのがわかった、おそらく上位の魔導師が本来なら相手にしなけばならない魔物であることはヘルダーにはわかった。
「(俺一人では難しい、おそらく上位レベルの魔導師が複数人必要だ)」
ヘルダーは己の実力は理解していた。そしてアルがその場にいることはヘルダーを焦らせる遠因の一つであった。
「......そのスライムの現在位置は?」
「近くにいる可能性は高いです......」
ヘルダーは周りを見る、空はオレンジ色森は徐々に薄暗くなる。
子供でもあるまいし暗い場所など怖くはない。
カァーカァー
カラスが近くで鳴く、何の変哲もないただのカラスの鳴き声だ。
「......」
24時間なんの恐怖感も感じずにいたはずなのに――
「......」
恐怖を感じてしまった、動こうにも動けないヘルダーは一人で勝てるという保障はなく動けない、アルも同様に動けない、リタイアを叫ぶ?叫べばそれは来る。現在の時刻は17時、夜になればもっと危険なのは理解しているのに――
それでも動くことが出来なかった――
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