第78話
黒い羽を散らしながら、ゆっくりと落ちていく烏丸。自分が飛んでいる事は容易に想像出来ても、落ちる自分というのは想像出来なかった。いや、自分がそもそも地面に墜落するようなヘマな事はしないと思って居たのだから当然だろう。
だがしかし、そんな想像が現実の物となった。いとも簡単に弓で行った攻撃が弾かれ、逃げようとして逃げ切れなかった。空中戦で敗北という恥を烏丸は落ちながら感じていたのである。
「っ……!(負けたっ)」
落ちた烏丸を回収する為、杏嘉と共に行動していた鬼組の組員は烏丸を運び戦線を離脱。その離脱する様子を見つけた狂鬼は、ムスッとした表情を浮かべて言った。
「あぁ?逃がす訳ねぇだろ!馬鹿がっ!!」
「馬鹿はテメェだ!!」
戦線を離脱しようとする烏丸を追おうとした狂鬼の前に立ち塞がり、杏嘉は地面を抉る威力のかかと落としを放った。その攻撃を回避して下がった狂鬼は、舌打ちをしながら杏嘉を見据える。
「チッ……そんなに死にたいならテメェから殺してやるよ。オレが相手してやるんだ、感謝しなっ!!」
狂鬼はそう言いながら再び武具を変更した。両手に持っていた武具では場所が狭いと思ったのだろうか、次は
杏嘉はそんな狂鬼を睨み付けながら、動向を探りつつ間合いを計った。地面に足を擦りながら、距離を観察しながら懐に飛び込む隙を見計らう。だが次の瞬間、狂鬼は振り回していた鎖鎌を杏嘉に向かって投げた。
「っ……こんなもの!!」
「ハッ、これぐらい避けられなきゃ困るっつの」
「――!?」
振り回されて投げられた鎖鎌は一度、杏嘉の真横を通り過ぎた。だがしかし、間合いを詰めるという行動を読んでいたのか、杏嘉が詰めた瞬間に狂鬼は鎖鎌を元に戻した。
背後から斬撃を注意を向けられなかった杏嘉は、肩に鎖鎌の先端が直撃する。グサリと刺さり、微かな
「あぁ惜しい。もう少しでその首は、オレの足元にあったはずなんだけどなぁ!」
「くっ……舐めやがって!そうやってテメェはまた相手を
「何の話だ?オレはいつだって相手をこうやって殺して来たんだぜ?楽しいよなぁ、相手を甚振るのはさぁ!!」
「――殺すっ!!」
杏嘉は四つん這いの構えを取り、
「(殺してやる!!コイツはアタイの……――アタイら一族の
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