第4話
「ふわぁぁ~……」
――ピ……ガタンッ。
自動販売機の前で欠伸をしながら、紙パック飲料を取り出す少年。
「また牛乳っスか?アニキ」
紙パック飲料の名称を口にしながら、ニカッと白い歯を見せて問い掛ける。紙パックを持つ少年とは違い、彼は陽気な性格で表情を豊かな印象を受ける。少年は冷めた表情をしたまま無愛想にして彼に言った。
「……何か変か?」
「イヤ、変じゃないっスけど……似合わないっス」
「似合う似合わないで飲み物を選ぶ馬鹿が何処に居る?」
「そうっスね。それは失礼したっス」
少年の言葉を聞いた陽気な彼は、肩を竦めながらそう言った。そんな彼の様子を眺める少年は、ストローを一度口を付けてから言葉を発した。
「……それとハヤテ、学校では兄貴じゃないだろ?何回言えば分かるんだ」
「口が慣れちゃってるんスよ。こればかりは大目に見て欲しいっス」
「まぁ幸い、誰かの目に触れてる訳じゃないから良しとしよう。――それで?用件は何だ?」
少年は彼に目を細める。その視線は空気が変わり、真剣な眼差しへと変化していた。そんな少年の視線をビクッとしながらも、彼は両手を軽く挙げて口を開いた。
「俺がアニキに用があるとすれば、一つしか無いっスよね?」
「……まさか、動いたのか?」
少年はストローから口を離して、さらに鋭い視線を向けてそう言った。彼はその問い掛けに対して小さく頷き、少年の言葉を肯定して口を開いた。
「餓鬼がどう動くかは知らないっスけど、これから活発になるっていうのは把握した方が良さそうっスよ。それとなく姐さんには伝えておくんで」
「分かった。引き続き何か分かったら報告してくれ」
「了解っスよ。あぁでもアニキ、もう一つ良いスか?」
「何だ?改まって」
少年がそう問い掛けた瞬間、彼は真剣な表情を浮かべていた。そこには先程までの陽気な空気は一切無く、寒気とも思えてしまう空気に包まれていたのである。
「――また一人でなんとかしようとするのは、無しっスからね?」
「……あぁ、分かってるよ」
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