第6話 魔王の考え



 転生する前、前世の俺は良いところまで魔王を追い詰めた。

 だが、一歩及ばずに魔王に倒されてしまった。


 あの時、魔王は何を考えていただろうか。


 魔王は俺の力を目にして、恐怖を覚えたのかもしれない。


 俺が倒れた姿を強く凝視していた。

 魔王は、俺が起きて再び剣を向けてこないか心配だったのかもしれない。


 俺の遺体は、消し炭になったとされている。

 記録によるとチリも残さなかったらしい。


 仲間達も、同じく、だ。

 かろうじて逃げる事ができたパーティーの一人……かつての仲間の盗賊は、恐怖の表情でその時のことを語ったようだ。

 歴史書に記されている。


 俺達パーティーが魔王を恐れているように、魔王も俺達を恐れたのだとしたら?


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