第7話 魔王の秘密



 かつての俺は決戦以前に、何度か魔王と戦った事がある。

 その何度もあった魔王との激戦の中、数回ほど倒したと思う瞬間があった。


 けれど、血を吐いて、心臓をくりぬかれて、頭部を吹っ飛ばされたかのように見えた魔王は、必ず数日から数か月後に、一段と強くなって蘇ったのだ。


 かつての俺の旅の最中。

 魔王が姿を現すたびに返り討ちにしたのだが、もしかして魔王には、死ぬと強くなるという性質があったのではないだろうか。


 かつての俺は、勘違いしていた。

 今まではただ本気を出していなかったから、次に出会ったときに強さを見せつけているのだと、解釈していた。

 だが、それが違うのだとしたら。


 だから、あの最終決戦を経た後の魔王は、人間である俺達に負けないために、自分を強化しようとした


 次の戦いに備えて、安全な場所を見つけて、何度も死に続けているのかもしれない。


 この強さならば、絶対に負けない、という確信が得られるまで。


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