タバサの過去



 ――あなたにとっての過去とは、何ですか?



 あたしにとっての過去は、過去だなー。

 それ以外の何かじゃないし、それ以上でもない。

 もちろん、放っておくわけじゃないし、大切にはするけど。

 いつまでも囚われてたら、前に進めないしね。


 あたしは、歴史を研究するのが好き。

 機械をいじくって、発明するのも好き。

 人を笑わたり、笑顔にするものも好き。

 でも、あたしとはまったく正反対で、そんな感じじゃないヒューズ君も好き。


 あたしが住んでいた故郷の村は、悪魔教の信者によって壊滅してしちゃった。

 あたしにいた弟も家族もみんな死んじゃったけれど、今は結構楽しく過ごしてる。


 だって、クラン王子や、シェフィちゃん。かいさんや、ヒューズ君がいてくれるから。

 とっても良い人達が周りにいてくれるから、落ち込んでる暇なんでないよ。


 あたしはね、泣いたり、嘆いたりしてるより、皆を楽しませたり、笑わせたいって思ってる。


 だってきっと、そうした方が素敵じゃない。

 今は死んじゃった皆だって、きっとあたしにそうしてほしいって思ってるはずだし。


 あたしにとっての過去は、辛く悲しい物だけど、それだけのもの。今が幸せだから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る