03 火の石回収任務
そういうわけで、トワイライト村の住人が隠したとかいう封印石の一つ。
火の石を回収する事になった。
紅蓮の荒野という場所にあるらしい。
この石を隠した村の住人は、その後悪魔教の信者に見つかって、命を絶ったそうだ。
悪魔教の連中に石の事は教えなかったようで、後日クランの部下が遺体に隠されたメッセージを読み解き、紅蓮の荒野の隠し場所が明らかになった。
(自分から死ぬ奴の気持ちなんて分かんねー)
分かるのは、シェフィが悲しむだろうなという事だけだった。
今回の任務はタバサと二人で行動だ。
二人でドラゴンにのって、紅蓮の荒野に向かう。
一応子供ドラゴン(あたし命名:ムース)も飛ぶ練習しているけど、もうちょっとがんばりが必要だからな。
「空飛ぶのってきもちーねー」
「まあ、気分悪くはねーな」
初めて飛んだ時からそれはずっと思ってる事だ。
竜騎士部隊に配属されて良かったことの一つだよな。
「竜騎士部隊になった事の大きな特権の一つだよー」
「そうだな。景色がいいのは、悪い事じゃねーし」
タバサの言う通り空の上から眺める景色は気分がいい。
普段見ない町の全容が見れたり、地平線まで見たりするのはわくわくする。
チビ達にも見せてやりたいけれど、あいつらじゃとばされちまいそうだな。
いつか、のせてやる事できないだろうか。
この任務が終わったら、ちょっとクランに話してみるかな。
考え事してたせいか、久しぶりに孤児院のチビ達に会いたくなった。
あいつら元気でやってるかな。
マザーを困らせてないといいけど。
「アメリアちんは孤児院出身なんだよね」
「ん? そうだけど」
「うーん。あたしね、子供の頃アメリアちんを貧民街で見た事あるような気がするんだ」
「えっ」
タバサは幼い頃、住んでいたところを離れて、城の周りにやってきた事があるらしい。
その時にあたしによく似た少女を、見つけたという。
「アメリアちんに似た女の子が、クラン王子とヒューズくんに似た男の子と一緒に遊んでるの」
どんな確率だ。
王族兄弟二人とあたしのそっくりに遭遇って。
「そっくりさんが三人てすげー偶然だな」
「偶然なのかなー? アメリアちん記憶にない?」
けれど、タバサは偶然否定派だったらしい。
けど、そう疑われてもな。
タバサには悪いが、記憶に引っかかるようなものはない。
「ねーよ。つーか子供の頃の記憶なんておぼえてねーし。昔大火事があったらしくて、そのショックで記憶がぬけたとか言われてるからさ」
「そっか、悲しい事きいちゃってごめんね」
「いや、タバサは悪くないだろ」
過去の話をしたせいで、ちょっと空気が気まずくなった。
過去の事、知りたいかって言われたら、まあ知りたいけど。
苦労して知りたいほどかと言われるとそうでもない。
もしかしたら、ほんとうにクランたちと知り合ってたなんて事があるかもしれないけど。
(それはそれだし。幼い頃の事なんて、きっと大した事じゃないだろうしな)
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