第7章 最後のまとめ

01 トワイライト村と狂信者(前編)



 あの任務から一か月後、怪我をしていたクランは、万全の医療を受けて完全回復した。


 傷跡も残っていないようだ。


 本当にそれはよかった。


 その間心臓を人質にとられて、無茶ぶりされる事もなかったからその意味でも本当によかった。


 けど、あいかわずあの馬鹿王子は無茶をするから、それをどうにか治せないのかって思うけどな。


 で今回、そんなクランから新たな任務が言い渡された。


 今度は、長い任務になりそうだ。


「君達には悪魔教の狂信者たちを全て討伐して、悪魔デモン・ゴアの復活とやらを阻止してほしい。まあ、そんなものはこの世界に存在しないだろうけど」


 虚をつかれた。

 だって、悪魔なんて絵本の中に出てくるような言葉だったから。


 一瞬、クランが言った言葉を聞き間違えたのかと思った。


 しかも、悪魔教?


(何だそれ。聞いたことねー)


 集まった他の仲間と顔を見合わせてしまう。


 タバサとシェフィは理解していないようだったけど、おっさんとヒューズは心当たりがあるようだ。


 おっさんは顔がシリアスになって、ヒューズは真面目そうな顔がさらに真面目そうになった。


 そんなヒューズがこっちに説明してくれる。


「以前アメリアさんにもお話しした、僕をスカウトしに来たやばいひとたちのことですよ」

「マジか」

「悪魔教というのは、文字通り悪魔を崇拝する者達の事です。悪魔デモン・ゴアの復活を行うために、多くの人間を虐殺しているやっかいな人間達なんです。この間戦った人達のような者達です」


 そこまで聞いてぴんときた。

 ほぼ竜騎士部隊の総力で挑んだアブナイお仕事だ。


「もしかして、この前ののあの任務って」

「そう、奴らが関わっている組織でもあります。もっとも連中は下部組織だから、利用されているとは知らなかったでしょうけどね」


 だから、クランは警戒していたのかもしれないな。

 一筋縄じゃいかないって。


 実際、怪我もしたしな。


「話しは少しそれるが」と今度はクランが説明。


「悪魔が封印されていると彼等が主張している門が、トワイライトという村にあるんだ。実際にそんな歴史はないんだが、彼等が思い込んでいると言うのが厄介だ。そういった理由があって以前、悪魔教によってそのトワイライト村が占拠されてしまった」


 めんどくさい奴等だ。

 存在しない悪魔の為に行動してるなんて、阿保なのだろか。


(つっても狂った頭の集団なんだから、あいつらの中では存在してるんだろーから説得なんで無駄なんだろーけど)


 それにしても、トライライト村とは、変わった名前の村だ。

 

 どんなところなんだろうと考えていると、シェフィが「あっ」と声を漏らした。


「トワイライト村は、私の、故郷です」


 心配げな表情になりながら。


(そうだったのか。じゃあ、シェフィは生まれ故郷を離れて一人でここにいるのか? それはちょっと寂しいんだろうな)


 シェフィは表情を曇らせたまま、「今、どうなっているんでしょうか」とつぶやいている。


 村人達の事が心配なのかもしれない。


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