03 そんなの可能?



 現在、あたしのいる竜騎士部隊には一人一匹の竜が存在している。


 みんな、それぞれにあった気質の竜が用意されているらしい。


 けれど竜には、その図体にあった食料を用意しなければならない。

 かなり食費がかかるので、飼育するのが大変だ。


 王宮には一応、竜が食べる餌が十分に用意されているが、その量は馬鹿にならない。


 だから、逆に考えて大量の肉を消費するために竜がいれば、いいんじゃね?


 となったわけだ。







 戻って来た城の中。

 部隊にわりあてられた部屋の中で、感想をもらした。


「金持ちの発想だな」


 するとちょうど任務から帰って来たタバサとヒューズが話しかけてきた。


「どったのアメリアちん?」

「どうかしたんですか? また兄さんが何か迷惑を?」

「実はな」


 ヒューズの頭の中では、クラン(※兄)と一緒に行動する=迷惑をかけられる事……になってるらしい。


 あたしはとりあえず先ほどあった事をかくかくしかじか。

 話していくと、意外にも二人は乗り気のようだった。


「それ、面白そう! 仲間が増えるとタノシクなるよね」

「発想は悪くないのではないですか? アメリアさんの竜はいない事ですし」


 普通なら気後れするような案だが。

 抵抗感なんてものはないらしい。


 無理だとか大変だとか思わないんだろうか。


 そこで、シェフィやおっさんも部屋に合流してきた。

 再び事情を話したら、二人も同意の様子だった。


 シェフィは「いいと思います」。


 おっさんは「まあ、いいんじゃないの」と適当。


 後で再びクランに聞いたら、やはり肯定的で予備の竜として、もう一匹ほしいと考えているらしいが。それには無視できない問題がある。


「そもそも竜なんて簡単に捕まえられんのかよ」


 それだ。

 野生でいるところなんて、見た事がない。

 最初に任務の時だって、遭遇しなかったのだから。


「確かに、難しいんじゃないかなー。出会う確率だって、少ないし、どこに生息してるのかもあんまりわかってないからねー。ヒューズ君、知ってる?」

「いえ、何も情報は……」


 おいおいクラン。

 そんなんでよく竜を捕まえるとか言ったな。


「前途多難じゃねーか。肉が腐る方が早ぇんじゃねーの?」


 そうなったらもったいないから、もっと他の案考えた方がいいんじゃないだろうか。


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