04 心臓とられた



 歓迎会とやらの話が出た後、城の中を案内されていた。

 脇でくっついてくるのはあのカップル二人。


 タバサとヒューズだ。


 そういえば、こいつら仲いいけどつきあってるんだろうか。

 あんなに乳繰り合ってるのに、まさか恋人未満って事はないと思うけど。


 タバサはともかく、ヒューズもうちとめてみるとなかなか気安い奴だった。


 始めて会ったやつとは思えないくらいだ。


 まじめ系堅物人間によくある、頭の固さとか融通の利かなさとかもほどほどみたいだし。


 城のあちこちをまわりながら、あれこれ世間話をしていく。


「それでねー。竜って実は昔は何匹もいたらしいんだよ」


 部隊に入る前は探検家だったらしいタバサ。彼女は、広い知識を披露した。頭が良い奴ですら知らなさそうなうんちくを語ってくる。


「盗賊団二つに挟み撃ちにされたときはどうしようかと思いましたね」


 第二王子であるヒューズは、軍務の経験が豊富で武勇伝をいくつも持っていた。


(職業極めた人間って感じだな)


 なんというか、これぞプロという感じの奴等だった。


 その専門に関しては、すごく知識が豊富な人間達だった。


 そんな奴等にはさまれて、城にいていいのだろうか。


 疲労できる知識なんて、人から盗む方法とか、気配を消す方法とかぐらいしかないし。


(場違いな気がするんだよな)


 ただの盗賊であるあたしが。こんなとこいていいんだろうか。


 そのあと、竜舎などに寄って、メンバー達の竜をみせてもらった。


 タバサは白竜。のんびりやっぽく眠っていた。

 ヒューズは青竜。神経質そうにアタシを見てた。

 シェフィは赤竜。可愛らしいつぶらな瞳が愛嬌があった。

 おっさんは黒竜。どことなくとらえどころなさそうな雰囲気だ。

 一番奥には金色の竜。クランのやつのらしい。

 第一王子のクランも一応竜騎士部隊のメンバーだとか。

 現場で任務をこなす事も結構あるらしい。


(王子二人そろってそれでいいのかよ)


 あらかた見終わった後、人気のない食堂で一息ついた。


「しっかし災難だったねー。アメリアちんも」


 タバサが水を飲みながらそう呼んでくる。

 なぜか、知らないあいだに変なあだ名がついていた。


 距離縮めるの早い。


「竜騎士舞台に配属されたって事は、自分の心臓を人質にされちゃってるんでしょ?」

「え?」


 しかし彼女の口から飛び出てきたのは、そんなおかしな言葉。


(今、なんていった?)


 自分の耳を疑っていると、タバサとヒューズが知らないの?みたいな顔になった。


(何それ、聞いてない)


 心臓?


 え?


 初耳。


「あれ、アメリアちん、知らないの?」

「なっ何がだ」

「私もヒューズ君も、シェフィちゃんも、カイさんも心臓ぬきとられて、王子様の私室に監禁されてるんだよ?」

「はぁーーーーっ!?」


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