第12話
◇ZACK 1F
ミカエルとアザゼルは槍を交わしたまま対峙していた。
『”コア”が手に入れば、ルシファーは完全復活を遂げる』アザゼルから切り出した。
『そんなことはさせない』
『お前は天界にいた時から、甘さがあった』
アザゼルは槍を振り解くとミカエルの腹を蹴り上げた。
『うわ・・』ミカエルが態勢を崩し、しゃがみ込んだ。
『その甘さが命取りになるぞ』
そう言うとアザゼルは槍を大きく振りかぶりミカエル目掛けて振り下ろそうとしていた。
その時、アザゼルの背後に黄昏貴美子が回り込んでいた。
黄昏貴美子はアザゼルの首付近に飛びかかるとすばやくワイヤーを取り出し首に巻き付けた。
アザゼルは首を絞められないようにすばやく指を首とワイヤーの間に入れ、絞められるのを防いだ。
ミカエルは態勢を整えると、再び槍をアザゼルに突きつけた。
黄昏貴美子はアザゼルから離れるとミカエルは槍でアザゼルを壁際に押し寄せた。
『もう終わりだ、アザゼル』
『それはどうかな』
アザゼルは不気味な笑みを浮かべた。
◇ZACK 地下電力室
『電力の再起動が完了した』楓は声を上げた。
『よし、これで何とかなるか』久能は怪物をなぎ倒しながら呟いた。
それでも尚、大勢の怪物が久能に迫っていた。
その時、久能の後ろからバールのようなもので怪物を叩き上げた人物が現れた・・・鳥飼楓だった。
『遅いぞ』
『シールドを使えと言ったはずだ』
『お前こそ、スーツなしで戦えるのか?』
『スーツならある』
『何?』
そう言うと楓は右手首に巻きつけているデバイスにタッチした。
するとそこから黒い繊維物質のようなものが楓の身体を覆い尽くしていった。
『な・・なんだ・・』久能は何が起こっているのか分からないような表情で楓を見ていた。
『タイプBのナノテクノロジースーツだ』
そう言うと楓は怪物に立ち向かって行った。
◇ZACK メイン本部
『電力が戻りました!』緒方が声を上げた。
『楓さん、、』ナイトイーグルは少しホッとした様子を見せ、すぐさま矢を怪物に放った。
『コアの場所が特定出来ました!』
怪物の動きが急に止まった。
『な・・なんだ・・?』ナイトイーグルが呆気にとられていた。
《どうした?》佐渡がワイヤレスイヤホンで聞く。
『怪物の動きが急に止まりました』
《どういうことだ・・》
そんな中、1匹の怪物がデータ解析された画面を凝視している。
怪物の目にメインパネルの絵が写っていた。
◇ZACK 1F
アザゼルも急に抵抗を止めていた。
アザゼルは静かに目を閉じると何かを待っているようだった。
そして静かに目を開けた。
『”コア”の場所が分かったぞ』
怪物が見た映像がアザゼルに伝達されていた。
『まさか・・最初からそれが目的だったのか・・』ミカエルが全てを悟ったように呟いた。
『ただの暴れ馬だと思っていたのか、相変わらずだな ミカエル』
そう言うとアザゼルは再び亀裂を発生させ、亀裂の中の漆黒の闇に消えていった。
久能、楓のいる地下の怪物もメイン本部の怪物も一斉に消えていった。
黄昏貴美子は全員に通じるワイヤレスイヤホンに向かって話しかけた。
『”コア”の場所がアザゼルにバレたわ・・』
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