第9話




大きなメインモニターに映し出された映像を緒方、楓、そして久能が加わって見ていた。




映像はHK道の亀裂付近を分析したものだった。


『HK道の映像からエネルギーを出力したものがこれです』


緒方はHK道の映像からサーモグラフィーに切り替えた。


『ここで、一つだけ未知のエネルギーを感知しています』


『未知のエネルギー・・?』久能が聞く。


『現時点では地球上で存在されていないエネルギー周波です』


『それで”コア”の場所が特定出来るのか?』楓は問う。


『このエネルギーのデータを解析すれば、コアについて何かわかるかもしれません』




その時、突然ZACK本部が大きな衝撃があり、揺れ出した。



『な・・なんだ・・』久能がよろめきながら呟く。


『何があった!?』楓はすぐさまワイヤレスイヤホンから問いただす。


《分からないわ、何かがぶつかって来たような衝撃だわ》黄昏貴美子が答える。


『楓さん!大変です、今の衝撃で電力が低下しています!』


『データ解析は!?』久能が声を荒げる。


『まだ40%しか出来ていません・・このままだと先に電力が切れます・・』



『貴美子、聞いたか 電力の再起動は?』


《地下にあるわ、私が向かう》





◇ZACK本部1階




黄昏貴美子は楓との通信を切ると、地下へ向かおうとしていた。


『何があった』ミカエルも殺気を感じ、黄昏貴美子に問いかけた。


『分からないわ、ただ何らかの攻撃を受けたみたい』


『私も行こう』



2人で地下へ向かおうとした時、目の前にHK道で見た亀裂が発生した。



『嘘でしょ・・』



亀裂の闇からアザゼルが出てきた。




『再戦と行こうか』とアザゼルは大きな槍を掲げた。




すると後ろから手下の怪物がウジャウジャ現れた。



黄昏貴美子はワイヤレスイヤホンに手を当てると楓に繋いだ。





『ちょっと、地下へは向かえないわ』








『おい、どうしたんだ』久能が楓に問いかける。


『アザゼルだ、奴が攻めてきた』


『え・・アザゼルが・・』緒方がビクつく。



『どうするんだ』久能が聞く。


『貴美子とミカエルがアザゼルと対峙していて地下に向かえない』


『楓さん、電力が更に低下してます・・』




『オレが地下に向かう』


『オレも行く』久能が肩を回しながら加勢した。


『なら、これを持って行け』


楓は小さなキューブ状の何かを久能に投げつけた。



『なんだ・・?これは』久能は不思議そうにキューブ状の小さな物体を見つめる。


そこには更に小さなボタンらしきものがあった。



『そのボタンを押せば大きなシールドになる、PKOで自衛隊が紛争地に派遣される時に政府が鳥飼インダストリーに依頼した試作品だ 最終的には採用されなかったが、今のお前には役に立つだろう』


久能は無言で楓を見つめる。





『防御を覚えるんだ』

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