Surprise Attack-奇襲-

第8話




《HK道に現れた謎の亀裂についてまだ、政府から何の発表もありません》


斉藤良子は自身がメインキャスターを務める”ニュース・アルファ”でHK道に現れた亀裂について報じていた。


この日の夜は、どこの局も同様にHK道の亀裂のニュースで溢れたいた。





◇ZACK本部:一室




『隠しきれる訳ないわ』TV画面を腕組みしながら立って観ていた黄昏貴美子がつぶやく。


『政府も混乱しているんだ』楓が後ろから声を掛けた。


『”コア”については? 何かわかった?』


楓は何も答えず、ただ首を横に振る素振りだけ見せた。



『相手が動きを見せない限り、何も出来ないわね』




『完全に受け身だな』



そう言うと、楓はその場から去っていった。








◇ZACKメイン本部




『どうだ、コアについて何かわかったか』楓が緒方に問いかける。


『いえ・・まだ何も・・』



緒方はZACK職員と共にHK道の映像から”コア”に関する手掛かりを探っていた。



『難しいかもしれないが、出来る限り急いでくれ』


『はい、分かりました』








『コーヒーでも飲む?』


黄昏貴美子は自販機を不思議そうに見つめるミカエルにやや茶化しながら話しかけた。


『いや、結構だ』


『貴方の能力か何かでアザゼルの動きを掴めないの?』


『残念ながら、そのような力はない』


『そう』黄昏貴美子は何かウワサの空の様子で答えた。


『何か聞きたいことでもあるのか』貴美子の様子に気づいたミカエルが逆に問いかけた。


貴美子は自販機で買ったコーヒーを飲みほすと、静かに話しだした。


『さっき楓が言ってた旧約聖書で貴方は死者を天国へ導くか地獄へ導くかを決める役割を担っていたと記されているわ』


『如何にも』


『一つ教えてくれない? 昔、私は一人の部下を失ったの・・徳永(”CROW-the orgin-参照)って言うんだけど・・』


ミカエルは黙って聞く。


『彼は天国へ行けたかしら?』



ミカエルは少し考えた後、答えた。


『申し訳ないが、それについては答えられない』



『そうよね、聞かなかった事にして』


そう言うと黄昏貴美子はその場を去った。




ミカエルは足早に去っていく黄昏の背中を見つめていた。







楓がドアを開け、廊下に出ると壁際にもたれて腕組みをした久能秀隆が立っていた。


『どうだ?何か分かったか』


『いや、まだだ』


『やっぱり、HK道の時に一気に攻め込むべきだったんじゃないか』


『敵の詳細が分からない状態で攻め込むのは危険だ』


『その結果、奴らを見失って手も足も出せなくなってる』



『何が言いたいんだ』


『なんで、あんたがリーダー面してるんだってことだ』




楓と久能がにらみ合う。




その時、ドアを開けて緒方が飛び出した。





『楓さん、少し手掛かりらしき事が分かりました』






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