第7話
”コア”についての議論が一段落したあと、少し休憩を挟んだミカエルは中二階になっているロビーで下にいる楓たちを見ていた。
『あのビジネススーツの男は鳥飼楓、クロウと名乗って街で犯罪と戦っているわ』
黄昏貴美子は下を眺めるミカエルの後ろから声を掛けた。
『あそこにいる弓矢の坊やは楠木宗介、ナイトイーグルとして彼も自分の街で犯罪と戦っている』
『あそこでテーブルに座っているのが久能秀隆、このZACKで悪と戦っているわ』
『・・・それで、君は?』ミカエルが黄昏貴美子の方に振り返った。
『私もZACKで悪と戦ってる・・・ここにいるみんなはヒーローよ』
『同じ人類同士がいがみ合う・・神はこの光景をどう見ているのか・・時より考えてしまう』
『天界でも天使が反乱を起こしたのよ、どの世界でもありえる事だわ』
ミカエルは黙ったまま遠くを見つめていた。
『ミカエル、黄昏 集まってくれ』鳥飼楓が2人を呼び寄せる。
2
『我々の世界にはミカエル、あなた達のことを書き綴った書物がある』鳥飼楓が切り出した。
円卓のテーブルに久能、楠木、黄昏、佐渡、そしてミカエルが座っていた。
鳥飼楓はその全ての視線を受けながら立ち上がり語りだした。
『その旧約聖書ではルシファーは神の”アダムとイヴに仕えよ”という命令に背き、反乱を起こした』
尚も楓は続ける。
『その戦いに破れたルシファーは天界を追放された、だから今回の目的は人界への復讐と見ている』
『なら、ルシファーは人界を破壊する気なの?』黄昏貴美子が推測する。
『ルシファーは神に自分より人間を優遇したことに強い嫉妬を抱いていた・・だからそう考えるのが妥当だろう』
『いや・・それは違う』ミカエルが楓の話を遮った。
『ルシファーは確かに人間を恨んでいるが、やつはまだ完全体ではない』
『どういう事だ?』佐渡が問い詰める。
『ルシファーは天界での反乱の時に負った傷がまだ癒えていない』
『なに?』
『アザゼルが”コア”を欲しがる理由の一つとして、ルシファーの完全復活もある』
『その”コア”がルシファーの傷を癒やす力があるってことか』楠木宗介がつぶやく。
『そうだ、”コア”エネルギーはルシファーの傷を完全に癒やす力がある・・そして』
『そして・・?』佐渡が詰め寄る。
『ルシファーは天界にもう一度攻め込むつもりだ』
『目的は天界の破壊か・・?』久能が聞く。
『人界人を悪魔に召喚して兵を増やし、天界に攻め込む・・ 』
『だったら・・・これは・・』楓は既にルシファーの真の目的に気づいていた。
ミカエルは少し間を作ってから低くつぶやいた。
『これは・・・侵略だ』
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