第6話




◇ZACK専用輸送機内



楓たちはHK道の騒動が収まったのを見て、本部へと戻っていた。


機内では誰も何も語ろうとせず、静まり返っていた。




『魔界人の目的は人界にある”コア”だ』ミカエルが静まり返っていた機内で口を開いた。




『さっきから言っているその”コア”って一体何なんだ』久能がややきつい口調で聞いた。


 ミカエルはそれでも凛として立ちはだかり、説明を続ける。



『”コア”は魔界からの攻撃を守る為にゴッドが人界に作ったエネルギーだ』


『エネルギー・・?』と楓。



『人界と魔界、それぞれにゴッドは”コア”エネルギーを打ち込んだ、それにより2つの世界は一定の距離を保つことが出来、魔界人が人界に踏み込めないように封じ込めていた』


『どういうことだ・・』久能は話の意味を分かりきっていなかった。



『お互いの”コア”エネルギーのパワーによってそれぞれが近づけなくしていたんだ』



『じ・・磁石だ!』ここで緒方友宏が声を上げた。


『磁石・・?』久能はまださっぱりの様子。


『磁石は同極同士だと反発しあう、その原理ですよ』


『常にお互いのエネルギーが反発しあってる事で、私たちの世界は守られていたのね』ブラックカイトがつぶやく。


『なら何故、魔界人は僕たちの世界に攻め込んできたんだ』とナイトイーグルは疑問を投げかけた。



ミカエルは少しため息を落とし、口を開けた。




『人界の”コア”エネルギーが弱まってきている』







輸送機はその後、T都内某所に着陸していた。


銀色のプレートには”Zone Advanced Crisis management Knot of division”と書かれていた。


ZACKの本部である。



その後、楓、久能、楠木、そしてミカエルはZACKのメイン本部にある大きな円卓のテーブルを囲うように佇んでいた。


久能はレッドバロンスーツのままテーブルの椅子に腰掛けていた。


鳥飼楓は椅子には座らず立ったまま腕組みをしていた、楓はすでにクロウスーツを脱ぎ、ビジネススーツ姿になっていた。


楠木宗介はテーブルに腰を掛け、弓矢の手入れをしながら状況を見つめている。


ミカエルは本部の大きな窓から見える人界の景色を見つめていた。




『自己紹介でもしたら?』そう言いながら黄昏貴美子が入ってきた。


黄昏もブラックカイトスーツの状態のままだった。


その後ろにはロングコートをなびかせながら佐渡健も続いた。



『人界の”コア”について教えてもらおうか』佐渡が切り出した。


『”コア”については私も多くは知らない・・』


『天界のトップが打ち込んだんだろ?だったら・・』久能が食い下がる。


ゴッドは”コア”を人界に打ち込んだが、それが何処に到達したかまではゴッドですら分からない』


ゴッドですら”コア”の在り処は分からないってことね』黄昏貴美子がつぶやく。



『なら、自力で探し出すしかないようだな』鳥飼楓は意を決したように呟いた。



『”アザゼル”が攻めてくる前に見つけないと・・』楠木宗介はアザゼルの存在が気になっているようだった。



『おそらく”アザゼル”は使いに過ぎないだろう』ミカエルが答える。


『使い・・』


『だろうな、魔界が絡んできているのなら 忘れては行けない存在がいる』楓は既にその先にいる大きな敵に気づいていた。


『誰なんだよ・・』久能が楓に聞く。







『”ルシファー”だ』







薄暗くどんよりとした世界が広がっていた。



辺りには黒い怪物がウジャウジャ存在し、規則性なくうろついている。



そんな怪物たちを押しのけてアザゼルはある場所へ向かっていた。



そこは大きな玉座が存在しており、黒いカウルか纏った人物が前かがみになって座っていた。



『すまない、ルシファー 少し邪魔が入った』アザゼルは黒いカウルを纏った人物をルシファーと呼び、その前にひざまずいた。


アザゼルの方からはルシファーの顔を見ることは出来なかった。



『ミカエルか・・』


『ああ、ただ・・』


『ただ・・?』


『人界人の中に少し骨のある奴らがいた・・』


ルシファーは少し笑みを浮かべるとアザゼルに向けて口を開いた。



『いいか、アザゼル 何事にも計画を実行する為に必要な事がある』


アザゼルは頭を下げたまま、ルシファーの言葉を聞き入っていた。





『邪魔なものを排除する、それだけの事だ』



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