第5話




『何者だ、何をしに来た?』楓が問いかける。



『”コア”のある場所を教えろ』



『”コア”とは何か知らないがここにはない 帰ってもらおうか』



『知らないのであれば、お前たちに用はない そこをどけ』


そう言うとその人物は腰に指していた大きな剣を取り出した。


剣を大きく振りかざすと、クロウ目掛けて振り下ろした。


クロウはこん棒で交わすとしたが、一瞬で砕け散った。


尚も剣を振り下ろしにかかり、楓に襲いかかってきた。



『クロウ!』ブラックカイトが叫ぶ。


『楓さん!』ナイトイーグルは思わず名前で叫んでしまっている。



『クロウ・・』久能が囁くように発した。


しかし次の瞬間、その人物は大きな何かによって吹き飛ばされた。



『・・なんだ・・?』久能は吹き飛ばされた方角を見る。



そこには黒い翼を持った人物とは真逆の白く美しい大きな翼を持ち、全くの濁りのないキレイな金色の髪は少しカールがかっており、肩口までは届いていないが耳にかかったぐらいの長さの黒い翼の人物と同じように甲冑を身にまとった人物が立っていた。



吹き飛ばされた人物の肩口には大きな槍が突き刺さっていた。



『誰かと思ったら・・貴様か・・”ミカエル”』黒い翼の人物は肩口に突き刺さった槍を引っこ抜くと地面に投げつけた。


『魔界へ戻れ、アザゼル』ミカエルと呼ばれた人物は黒い翼の人物を”アザゼル”と呼んだ。



『”アザゼル”・・・?』久能は意味が分からずつぶやく。


『旧約聖書に出てくる堕天使の一人だ・・』楓が補足する。



『いよいよ、とんでもない話になってきたわね』とブラックカイト。


『じゃあ・・ミカエルって・・』ナイトイーグルは流石に勘づいていた。




『大天使ミカエルのことだな』楓が囁いた。






『そう言う訳にはいかないんだよ、大天使様よ』アザゼルは皮肉混じりに答える。


『人界に手出しさせる訳にはいかない』


『”コア”のエネルギーが必要なんだよ』


『だったら尚更だ、”コア”はゴッドによって作られたものだ、お前たちに触らせない』



『まぁいいだろう、お前も気づいてるはずだ そうだろ?』


ミカエルは黙ったままアザゼルを見つめる。


『あの状態だといつでも人界に攻め込める、焦る必要はないかもな』


そう言うとアザゼルは大きな翼を羽ばたかせ、亀裂の中へと戻っていった。


それを追うように怪物たちも亀裂の中へと戻っていった。




やがてその亀裂は消えてなくなった。




『詳しく説明してもらおうか』佐渡がミカエルに近づいた。


ミカエルはアザゼルに投げつけた槍を取り戻すとひと言だけ呟いた。





『人界人だけではどうにもならない事態に陥っている』






HK道の最北端の草原は先程までの騒々しさから一転、静まり返っていた。



『あれ・・?クロウよね・・』斉藤良子はつぶやくように問いかけた。


『ですよね・・なんでこんな所に・・』カメラマンの丸山も不思議に感じていた。



『それより・・これ・・どうやって局長に説明すればいいのよ・・』





斉藤をはじめとした各局の報道陣たちは、未知なる現象に驚きを隠し切れていなかった。






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