第4話




亀裂付近にまで到達した久能は一匹の怪物の背中にしがみついた。


『大人しくしてろ』


久能の存在に気づいた怪物が一斉に襲ってくる。


久能はそれらを伸ばした腕で振り払うと、亀裂の中を覗き込む。



中を覗き込んだ久能は驚愕の光景を目にする。



『なんだ・・・これは・・・』



久能が覗き込んだ亀裂の中は漆黒の闇だった・・しかし、そこには外に出ようとする無数の黒い怪物たちで溢れていた。


地上から見えていた亀裂の闇は怪物で覆い尽くされていた光景だった。



『これは相当ヤバいぞ・・・怪物の数が半端じゃない・・』


少し呆然とした久能は一瞬のスキを見せてしまっていた。


背後から怪物が襲ってきている事に気づかなかった。


殺気を感じてすぐに振り返った久能の目の前には大きな口を開け襲いかかろうとしている怪物がいた。




ズサ!!



しかし次の瞬間大きく開いた口の中央から一本の矢が突き刺さった。



『レッドバロン、こっちに飛び乗れ』ジェット機の上からナイトイーグルが声をかける。


『すまない』久能がジェット機に飛び移ろうとした時、またしても異常な事が起こった。



大きな光が亀裂の中から発しられ、ものすごい風が吹いた。



久能はその風でバランスを崩しジェット機に移れず、下へと落下していった。


『レッドバロン!』宗介が叫ぶ。


ジェット機も風に煽られてバランスを崩し地上へと下降していく。



『大丈夫か!2人とも!』楓は安否を確かめる。


『オレは大丈夫だ』久能は体を地上に打ち突けられたが、クアトロの能力で驚異的な身体能力を手に入れていた為、事なきを得ていた。


ジェット機もバランスを整えるとなんとか地上へと無事着陸していた。



『こっちもなんとか』ナイトイーグルも事なきを得ていた。



『ちょっと、あれ見て』ブラックカイトは亀裂の真下付近を指さした。


楓もその方を見る。


上空の亀裂付近から真下に向けて強い光が指していた。



その光は徐々に弱まって行き、人影らしきものが見えてきた。



『誰かいるぞ・・気をつけろ』楓が注意を促す。


レッドバロン、ナイトイーグルはそれぞれ身構える。




光が消え去り、謎の人物が確認できた。


しかしそれは楓たちには想像も出来ない姿をしていた。






黒く大きな翼は左右に大きく広がり、全身黒い鎧を纏った端正な顔立ちをした人物が立ちはだかっていた。



『なるほど、これが人界か』



その人物はゆっくりと歩き始めた。



『止まれ!何者だ』クロウが叫んだ。


後ろでは”ジェネシス”が銃を構えている。


レッドバロン、ブラックカイトも身構える。


ナイトイーグルは弓を構えていた。




『”コア”はどこにある?』



『”コア”・・・?』クロウが答える。



『知らないのか、なら用はない』そう言うと大きな翼を振りかざした。


すると突風が吹き、楓たちは吹き飛ばされた。



『なんなの・・一体・・』ブラックカイトが囁く。




黒く大きな翼を靡かせたその人物は尚も前に進む。






その前にクロウが一人、立ちはだかった。








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