第2話
1
◇首都圏上空
佐渡から連絡を受けた後、鳥飼楓はZACK本部へと向かった。
そして佐渡、黄昏、久能と合流したのち、ZACKの輸送機でHK道へと飛び立っていた。
『楠木宗介は陸奥でピックアップする予定だ』佐渡が、口を開いた。
『彼の家族は僕の会社で匿います』楓も口を開いた。
楓にしたら、チームに楠木宗介を誘ったこともあり、彼の家族を守ることも一つの使命だと感じていたからだ。
『一体、どうなっているんだ・・』
楓は輸送機の操縦室付近まで行き、フロントから見える外を眺めながらつぶやく。
すると楓の後ろから声が聞こえた『あんたがウワサの”クロウ”か』
『君が”クアトロ”血清の唯一の成功者・・久能秀隆か』
『よく知ってるな』
『佐渡さんからチームの話を聞いた時に話は聞いていた』
すると久能秀隆はクスリと笑みを浮かべた。
『やっぱり、佐渡さんはオレの力をアテにしてたんだな』
『どう思う』楓が切り出す。
『分からない、、ただ、これから相手する敵は想像を絶するものになる・・』
『ああ、不測の事態に備えておくことだな』
『・・ところで・・彼は何者だ?』久能秀隆は輸送機の中に一人、似つかわない華奢な若い男を指さした。
輸送機の中を興味津々で見ている男がいた。
『彼は我が社の応用化学部の研究員だ』
男は自分の事を話していることに気づき近づいてきた。
『どうも!緒方です
『なんであんたの会社の研究員がここにいるんだ』
『彼にはあの亀裂に関しての調査を手伝ってもらう』佐渡が割って入ってきた。
『君はどう見る?』楓は緒方に問い掛けた。
『考えられのは”
『”亜空間”?』久能が聞き直す。
『本来、物理学としては説明出来ないものですが・・宇宙空間とは別の空間としか・・』
『SF映画だけの話かと思ってたけど・・実際に起こるとは・・』久能がつぶやく。
『まだ”亜空間”かどうかはわかりませんけどね・・』緒方が久能を諭す。
その後、陸奥で楠木宗介をピックアップすると輸送機はHK道へと再び飛び立っていった。
2
◇HK道:最北端
田畑が壮大に広がる北の大地、普段は静かな場所だが、今日ばかりは少し違った。
上空の亀裂から少し距離を取った場所に仮説のテントが複数設置されていた。
ZACKの特殊部隊”ジェネシス”が待機し、数名の職員がPCの前で亀裂の分析を行っていた。
また別のテントでは自衛隊が待機しており、臨戦態勢を取っている。
そこより更に奥に距離を取った場所には報道陣が群がっており、異様な光景をレポートしていた。
その大地の一角にZACKの輸送機が着陸した。
中から佐渡が先陣を切って降り立つと、ZACKの職員が近づき話しかける。
『あれから変化はありません』
『亀裂は広がっていないか?』
『はい』
『例の怪物は』
『それも変わりありません、亀裂付近に群がったままです』
佐渡の後に続いて楓、久能、黄昏、楠木が降りてきた。
『実際に見ると・・想像より異様ですね・・』楠木宗介が口を開く。
『すぐにスーツアップ出来るようにしておくんだ』楓が注意を促す。
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