第3話

手紙には

未来の魔王は開けるがよし。


と、書かれていた。


僕は不思議に思ったが、開けてみることした。なんかワクワク。


開けた瞬間、目の前にものすごい光が迫ってきた。


僕は大きな手でガシッと両肩を誰かに掴まれた。


「魔王様、ようこそこちらの世界へ。」


低い声が聞こえる。


「え?え?」


目の前にはナイスミドルがいる。かっこいい。

それにここはどこだ。なんだか、宮殿みたいだ。家にある、昔流行ったファンタジー小説の挿絵にあった景色みたいだ。


「あなた誰ですか?かっこいいですね。」

「申し遅れました。私はジノーケル。先代魔王から新しい魔王に仕えるよう命令を受けています。」

「はぁ・・・。」


なんだろ、訳がわからない。ま、でもここは日本でも地球でもなさそうだから、並行世界・・・。いや、異世界なんだろうな。言葉は日本語で通じるみたいだし。


「うんと、僕はアキト。えーっと」


「自己紹介には及びません。失礼ながら、アキト様が生まれてから、ずっと監視させていただきました。魔王の器にふさわしいお方かどうか。」


「あ、え?そうなの?もしかして、近所のカラス?」


「な!?」

ジノケールは驚愕した。現実世界では魔族がおらず、魔法もない。なので、安心して観察していた。そして、彼の観察眼の鋭さに心底驚かされた。カラスといっても、魔法をかけて、普通のカラスとは違い、存在を薄くしていたにも関わらずだ。


「だって、ずっと一箇所にいるカラスっておかしいよ。ははは!」


「・・・。これは、魔王様には敵いませんな。」

「それと、まずは友達になってよ!」


「・・・!」

ジノケールは先代の魔王の言葉を思い出した。


「僕は友達でいたいな。動物以外の友達っていなくてさ。さみしかったんだ。」


「もちろん。よろしいです。ただ、魔族のルールがありまして。魔族は契約と命令が必要です。何か命令をください。あなた様は魔王ですから。全ての魔族は契約と命令を受ける必要があります。契約はそちらの世界でいう、仕事や役割みたいなものです。」


「んーと、じゃあ契約は執事で。命令かぁ・・・。」


契約はすぐに終わった。お互いの手のひらを切り、手を合わせる。これで終わりらしい。結構痛かった。血の契約という、簡易的な儀式らしい。


「命令は・・・。そのうち!」

「かしこまりました・・・。」


ジノは思った。性格まで、ルイド・・・。先代魔王とそっくりだ。結局ルイドは命令は最後の一つだけだった。それに、ジノだけに。


「では、今日のところは休むとしましょう。魔王様の部屋をご案内します。」

「はーい。よろしくね。」


「あ、その前に・・・。」


ジノは小さなローブを取り出した。


「ん、ありがと。」


魔王のローブをアキトにかける。このローブは見事な刺繍がある。

-魔王のローブ

{特性 魔力無限、魔防御増幅、防御増幅、状態異常無効化、浮遊、覇気。魔王の称号持つ者のみ装備可}


「おお、すごい。飛べる。」

アキトはふわふわと浮いて楽しんでいる。


「では、参りましょう。」

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