第8話 上野襲撃

 上野のパチンコ店、サイバースパークに都の主税局の立入があったとの報道。

 私も末端ながら業界に関わる者なので、微力ながら提言したい。


 そのやり方は、筋が違うのではないかと。


 そもそもこの緊急事態宣言を受けて、三密であり不要不急であるパチンコ屋なぞ休業して当然。この意見はごもっとも。

(私自身は専ら休業中で、日々怠惰にstay homeと言う名のもとに時間を無為に消費するだけの日々を送っています。)

 しかしながら、宣言の法的拘束力がないからと言って、「脱税の嫌疑をかけて」「別の権力を持ち出して」「休業させる」は果たして如何なものか。

 少なくとも私には、権力、権威、権限の濫用に思える。

「そうせざるを得ない事情」を鑑みず、話し合いもせず、「権力という斧」を振り翳し威嚇する。小池都知事が「普及不要」のジェイソンマスクを被っているように見えてならない。



 むしろ見えてくるのは、「こういう非常事態だからパチンコ業界叩いてもいいだろう」という、悲しい政府と民衆の一致。

 敵の敵は味方。

 エイリアンVSプレデターに於けるエイリアンなのだ、私のようなパチンコ業界従事者は、などと思います。

 私はまだ良い。業界にしがみつくでもなく、流れ流れて風天の最中、身を寄せる家族もなくぶら下がっているだけ、吹けば飛び別の何処かで野垂れ死ぬ可能性の高い独り身のパチンコ店員ですので。

 そうでない人もいるのです。家族を養ったり、多くはないかもしれないけれど、活躍の場を求めて、自分を正当に評価してくれる職場として、今パチンコ業界に携わっている方もいる。

 同じ「人」で、同じ「ことば」が通じるのに、こうしてエイリアン扱いされるのは、悲しいなぁ。



 もう一つ私に見えているのは「矛先の転化」。奇しくもこの最中に、反対運動も出てきているとは言え、検察庁法改正案が罷り通ろうとしている。


 今、パチンコに批判的に物申したい、している人は少し留まって欲しい。そのあなたの考えは、「本当の貴方の思考」じゃないかもしれない。あなた、というプレイヤーを操作する、ゲームマスターの思考かもしれない。本当に「自分の意見」かどうか、今一度立ち止まって下さいお願いします。


 あなたのゲームマスターは、貴方を駒として、別の戦略を描いている。

 これがコードギアスなら、戦略家も死をもって幕引きとなるのですが。

 首相にナイトオブゼロはいないのが現実です。


「目の前の」

「わかりやすい」

「敵を」

「攻めたい気持ち」

 を扇動して、ゲームマスターは自分のワガママを貫こうとしている。

 その「敵(しかも雑魚)」が、パチンコ業界に見えるのです。

 囮も甚だしい。

 そして最早その囮が役に立たない社会だと信じたいのです。



 本質はどこにありますか。

 政府、首相、大統領、国家元首、名称は何でも良い。

 長、トップたる人物は、平時に役に立たずとも「非常事態」に皆を賄ってくれる。


 日本においては、

「心」の部分は「天皇」がそれを担ってくれれば良い。

「現実」の部分は「首相」が賄ってくれれば「良いのに」。


 残念な国家の中で生きる、蔑まれる人間の戯言でした。

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