4-2
呉起の言動を見ていて気になるのは、命に対する考えの屈折である。郷里で三十人を殺し、自分に足りないものに気付いた。母の死を利用して
非人道的と言えばそれまでだが、死の影響を力学として計算する冷徹さは、戦争を商品とする兵法家にとっては
兵士が悪性の
しかし、ある兵士の母親は悲しんで言った。
「あの子の父親も兵士でした。同じように疽を患っていた時、やはり呉起様が吸い出してくださったのです。夫はそのご恩に報いようと奮戦し、死にました。あの子もきっと、呉起様のために命を投げ出すのでしょう。これが泣かずにおられましょうか」
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