第6話 図書館少女と色々美術部
制服はセーラー服。
指定の学生鞄は、本が限界まで入っているので幅がいっぱいに広がっている。
この頃の女子中学生は、細い幅にした学生鞄を持つのが流行っていたけど、知里は気にしなかった。
(だって、本が入らなくなるもん)
知里は既に学校の図書館の常連だった。
ここは知里にとって宝の山だ。
家で読んだことがなかったジャンルの本とか、買うには高すぎて買えないけど読んでみたかった本、画集、普通なら読まないようなジャンルの本を開いてみる楽しみもある。
一度に借りられる本は三冊まで。
その日に借りる本を迷いながら選んでいく時間もまた、楽しい。
そして、大体、一日で三冊読んでしまう。
帰り道、幸いにも?知里の家の近所は車の通りもないので、歩き読みをしながら帰ったりするからだ。
まぁ、夢中になりすぎて電信柱にぶつかりそうになり、ヒヤリとしたことも何度かあるけど。
そして、中学生になった知里は美術部に入った。
元々、絵を描くのも好きだったし、部活では美術の先生が熱心だったお陰で、陶芸とか七宝焼なんかの体験もさせて貰えた。
デッサンをしたり、アクリル絵の具を使ったり、油絵を描いたり、初めての体験ばかりで放課後、部活に行くのは図書館に行くのと同じくらいに楽しかった。
学校には小さな窯も手回しろくろもあったので、結構本格的に土練りからお皿やお椀を作って乾燥させて、窯詰めから素焼き(この過程は先生がしてくれる)それから釉薬がけまでさせて貰えたのだ。
釉薬が乾いたら、もう一度、窯詰めして本焼き(ここはまた先生)そして完成!
上手くいかなくてヒビが入ったりもあるのだけど、それもまた、自分で作ったとなると愛着が湧いてくる。
七宝焼も電気炉があったので体験させて貰えた。
陶芸もだけど、作った物がどういう仕上がりになるのかわからないのが、知里にとっては面白かった。
意外な偶然のアクシデントだったりが、思いもかけない効果になって出来上がりに影響するのがワクワクドキドキして楽しいのだった。
文化祭用にポスターを描いたりもした。
展示物は玉子の殻を細かく砕いたものに、それぞれ色を塗って、それで大きな壁画風にしたものを皆で作った。
遅くまで残って皆で大きな作品を作り上げるのは大変だったけど、出来上がった時の充実感といったら!
美術室は1階の端っこにあって、教室の戸から廊下に出ると数歩で裏口に出る。
西陽があたる美術室は、でも知里にとっては図書館と同じくらいに大好きな場所だった。
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