第3話 本とアニメにどっぷり浸かり

 知里ちさと、5歳。

 本が好きで、字が書いてあると片っ端から

「この字なんて読むの?」

 とお父さん、お母さん、おばあちゃんに聞きまくっていた。


 お陰で読むことに関しては、あんまり不自由はしてなくて、難しい漢字以外なら字のある本でも大丈夫。

 絵本だけじゃなくて、少し厚い本、童話の方にも手を伸ばし出していた。

「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」に「少女パレアナ」「秘密の花園」とか動物ものの「白い牙」もだし色々。

 日本の昔話とか伝記ものも読んだりする。

 とにかく、字を読んでお話の意味がわかるのが楽しくて仕方ない。


 それと同時にテレビアニメにも夢中になった。

 中でも「みなしごハッチ」には泣いた。

 なかなかお母さんと会えずに、すれ違ってばかりなのが悲しくて、見ているとまるで自分がハッチになったみたいな気がしてくる。

 主題歌もすぐに覚えて一緒に歌った。

 これがまた、切ない気持ちを掻き立てる。


「ぐすんぐすん、おーんおーん! ハッチが可哀想〜!」

 思わずビロードのクッションを胸に抱きしめて大きな声で泣きじゃくる。

 お父さんとお母さん、おばあちゃんまで、何事があったのかと、慌てて飛んできて、ビックリさせてしまう。

 これは、ちょっと恥ずかしかったけど。


「アタックNo.1」でバレーボールに憧れたけど実際にやってみるとアタックも、あんなにカッコよくできなくて、何となく自分でもやってみたいという熱は冷めてしまう。でもアニメは最終回まで観た。

 スポーツものは憧れるけど、どうも自分でやるのは難しそうだ。


「魔法使いサリー」や「魔法のマコちゃん」の魔法使いものの方が魅力的で何とか魔法が使えるようにならないかなぁと密かに呪文の練習をしたりした。

 そう簡単に魔法が使えるようにはならないけど、『マハリクマハリタヤンバラヤンヤンヤン』と唱えると魔法使いになれた気がしてドキドキする。


 妖怪ものも好きで「ゲゲゲの鬼太郎」は欠かさず見てる。

 怖いけど鬼太郎や目玉の親父は好き。

 仲間の妖怪たちも好き。

 怖いところはつい目を瞑っちゃうけど。


 後は「いなかっぺ大将」大ちゃんとニャンコ先生が面白い。「とってんぱーの にゃん ぱらりっ」の掛け声でのニャンコ先生のキャット空中三回転は凄い!


 読みたい本はいっぱいあるし、観たいアニメも沢山だから毎日は結構忙しい。

 知里の自慢は大抵のアニメの主題歌を覚えていて歌えることなのだ。


 こんな風に、本とアニメにどっぷりと浸かって知里の一日は過ぎていく。

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