便利なライブラリ機能

 少なくともこれで、俺が辿り着いたのが剣と魔法のファンタジー世界とは無縁であること、紛うことなきSF世界であることが明らかになったわけだが。


 と、そこで俺の視界の端に【ライブラリが解放されました! ――廃惑星テラ――】という表示が飛び込んできた。

 ステータスを表示するホロウィンドウを呼び出すと、確かに【ライブラリ】のコマンドがある。叩くと、【NEW! 廃惑星テラ】の他、先のバトルボットの情報もあった。


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【廃惑星テラ】


無法宙域内に位置する生命居住可能惑星。(居住推奨レベルF)

かつては周辺宙域を支配する巨大星間国家テラの母星として繁栄を極めていたが、内乱や旧銀河連邦の台頭などにより衰退。惑星には遺跡化した巨大都市と無数のワークボットやバトルボットが残されることとなった。


現在では旧銀河連邦の影響外であることから複数の犯罪シンジゲートが拠点を置き、密輸、違法武器の売買など犯罪の温床と化している。


惑星自体には特に希少物や未解析のロストテクノロジー類はほとんど残されていないため、犯罪シンジゲートとの関与を望まない場合は速やかな退去が望まれる。


(ギャラクティックペディアより抜粋)


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 へぇ。

 テラってことはもしかして………と思ったのだが、肝心なことに情報が無い。もしかしたら、このギャラクティックペディアってものの方で調べた方がいいかもな。

 それに、俺が生きていた現代とも全く違うようだ。そもそもビルの高さからして違う。1000万都市の東京でも、ここまで超巨大ではなかったからな。


 それにしても居住推奨レベルはFか。確かに廃墟と化した大都市やら、バトルボットやらがウロウロしていることを考えれば、快適な生活を送れないことは間違いないな。それに空気も淀んでいる。こんな所に来る奴と言えば、確かに悪いことを企む奴ぐらいのものだろう。


 俺は倒壊したビルの瓦礫や乗り物らしきものの残骸を避けたり乗り越えたりしながら、ほとんど道なき道を進んだ。

 と、しばらく探索する俺の視界に――――今度は恐ろしく巨大な〝壁〟が姿を現した。

 一瞬ダムか何かか? などと思ってしまったが、どうやら金属の類で作られているようだ。それが上を見上げる限りどこまでも高く、そして左右を見渡せばどこまでも果てへと続いている。


 まるで、この都市の廃墟と「その向こう側」を隔てている、一種の隔離壁みたいだな。


 どこかに扉は無いか? と半径数百メートルぐらいをウロウロしてみると、それらしき閉鎖されたゲートを発見することができた。


 だが………こちらから開けるために必要そうな端末の類や、インターホンひとつとして見当たらない。


「………ノックするとか?」


 などという考えを実行してみたが、ゴンゴン、と虚しく分厚い鉄扉を打ち鳴らすぐらいで、到底向こう側に音が届いているとは思えない。それに、よく見ればしばらく開けられた形跡もない。

 さて、どうすれば向こう側に行けるのか………


 しばらく思い悩んでいると、ふと視線が腰のレイブレードへと向く。

 そしてゲートへ。

 なるほど。



 俺は腰に留めてあったレイブレードを手に取って起動すると、――――その光刃を鉄扉に向かって深く突き刺し、俺と向こう側を隔てる分厚いそれを溶断することにした。




 その時の俺には思いもよらなかったのだが、一方そのゲートの向こう側では………



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