ここは、ファンタジー世界ではないな
あてもなく通路を進み続けていると、またさっきと同じロボットを発見した。
幸いにも距離があり、やり過ごすことができるかもしれない。ただ、逃げ回るほど強敵でもないように見える。
ここは………「鑑定」スキルでも使ってみるか。
もう一度ステータス一覧を呼び出すと、スキル一覧の下あたりに
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「高位鑑定」
鑑定スキルを大いに高めた者に与えられるスキル。
自分のレベルと同程度の対象・アイテムを鑑定できる。
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そうそう。これだ。
ただ、基本的に魔王もLv.95ぐらいだったから極限までは極めてないんだよな……
何はともあれ「鑑定」スキルを使ってみる。
使い方は、多分パルキュイアの時と同じだろう―――意識を研ぎ澄ませて、対象を注視する。そして「鑑定」したいと強く念じるのだ。
すると、
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【バトルボット ATE-663】
【Lv.41】
【HP:1418/95220】
【攻撃力:1512 /3547】
【防御力:2519/4410】
【精神力:741/4108】
【俊敏力:1257/2850】
【幸運:2007/2478】
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【装備一覧】
【武器:AW-7フォトンライフル】
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オール・テラ・エレクトロニクス社製汎用バトルボット。
あらゆる戦局に対応可能な汎用性を持ち、安価に製造可能であることから大量に製造・配備されていた。
テラが廃惑星となりATE社も消失したことから、本機はテラ内にて放棄され、老朽化により機能が停止するまで配備された拠点内を彷徨い続けている。
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なるほど。
最大値に比して現在の値がやたら減ってるのは、老朽化したからなのか。
レベル的には十分対処できる相手だが、できれば新品のバトルボットとは戦いたくないものだな。もし俺と同レベルの奴がいれば、現在の数値から見て俺のステータス数値を超えそうだ………。
ともかくも目の前のバトルボットを排除しなければ先に進めないので、俺はそのままバトルボットに向かって歩いた。
当のバトルボットは、俺が数歩歩いたところでようやくその存在に気づき、俺に向かって機械的にフォトンライフルを突き付けた。
そして問答無用でフォトンビームを俺目がけて乱射。
だが、すでに俺はレイブレードを構え、迫るフォトンビーム相手に正確に光刃を振るうことでビームは次々跳ね返され、バトルボットは一瞬で返り討ちに遭って終わった。
既に老朽化が進んでいたボディにいくつも焼け焦げた弾痕を残し、バトルボットは倒れ伏して果てる。
さて、思えば今の俺は一文無しだ。魔王決戦前には結構貯めてたはずなんだが、流石にその引き継ぎはないようで、何か金目の物を拾っておいた方が今後のためになるのは間違いない。
とりあえずバトルボットが持っていたAW-7フォトンライフルを取り、俺の腰に着けられていたユーティリティ・ポーチに突っ込………流石にサイズ的に入らないか。
と思ったのだが、フォトンライフルはスルスルとポーチの中に入っていき、まるで魔法のようにすっかり入ってしまった。しかも重量が加わった感じもない。
「おお………」
おそらく、空間拡張魔法のようなテクノロジーがこのポーチには使われているのだ。どれくらい使えるものなのかはまだ分からないが、非常にありがたい。
それからまたしばらく歩くと、階段のようなものを見つけることができた。ようやく上の階に上がれるのだ。
カツ、カツ、と靴音を鳴らしながら階段をのぼっていく。
ようやく外の光が見えてきた。そして俺の視界一杯に飛び込んできたのは、
「………なんだこりゃ」
無数に立ち並ぶ、現実世界でもあり得ないような天を突くような超々高層ビルが立ち並ぶ未来的な超巨大都市………の廃墟だった。
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