第一章 幕開け
シュンとなっている舞香に、一也は、クスッと笑う。
「だけど、良かったね。一学期だけで。一年なら、本当に、死んでるね。」
「そ、そういう問題じゃなくて。」
スッと、一也が片手を出す。
「えっ……?」
「よろしく、松嶋さん。」
「あっ、あっ、はい-。」
舞香は、差し出された手を軽く握る。にっこり笑う一也の顔に、舞香は、少し頬を染めた。
放課後。帰る準備をしていると、バタバタと、二人の男女が駆けて来て、キョロキョロと教室を見渡し、一也を見つけ、側に駆け寄ってきた。
「そこの、デコボココンビの君達!」
そう言って近づいてきた男女に、驚き、目をパチクリさせる一也と舞香。
「君達!オカルトに興味ないか?」
「あるわよね!デコボココンビ!」
目を輝かせている二人に、一也と舞香は戸惑う。
「な、何ですか?いきなり……。」
一也の言葉に、男の方が言う。
「おーっと、これは失礼。申し遅れましたが、僕は、ホラー研究会の会長をしている、2年A組の田中 俊一(たなか しゅんいち)。そして。」
そう言って、俊一は、女の方を見る。女は、肩までの髪をサラッと片手で、後ろに跳ね、
「同じく、ホラー研究会の副会長、2年E組、吉川 梨菜(よしかわ りな)。梨菜ちゃん♡と呼んでくれても、いいわよ。」
と言った。俊一と梨菜の勢いに、言葉を失う、一也と舞香。
「……………でっ?」
呟いた一也の手を取り、俊一は、何度も、頭を下げる。
「ありがとう。君達は、神だ!デコボココンビ!我、ホラー研究会に入部してくれるとはっ。」
「ああ、神様は、本当にいるのね-。」
勝手に盛り上がっている俊一と梨菜に、ポカンとして、一也と舞香は、顔を見合わす。
「どういうこと-?!」
一也と舞香の声が教室内に、響き渡る。
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