肉団子ですよ
ピリ辛餡の肉団子で早めの夕食を済ませ、一家団欒の週末を過ごし、そして再び通勤の日々、二人はスペースコロニー1のニライカナイカフェでのんびりとお茶などしています。
「いつも思うけど、ここは無料なのがいいわね……」
「近頃はウーロン茶のティーパックなどもありますし、麻花(マーファー)の小袋も置いてありますね♪」
ニライカナイカフェでは、女官さんのたっての要望で日持ちのする小袋菓子なども置いているのです。
「ところで安い原価で提供できる料理の話ですけど、やはり肉団子がいいと思うの」
「万姫さんが美味しいっていっていたでしょう、中原の料理といえば肉団子、『江南』だって肉団子料理は数あるわ」
朱麗月さんは、帰省したばかりの柴万姫さんの第一声が、耳にこびりついているようなのです。
「そうね、万姫さんも帰ったら『肉団子』というし、瑞季さんと瑞麗さんが云っていた甘酢餡を絡めた酢豚風なんてのは『江南』の料理、よく肉団子でするわね」
「でもお肉でしょう?チキンといっても物資補給部で扱う以上、材料費の制限に引っかからないかしら?」
「そうね……原価がね……」
二人がそんな話をしていると、ヴィーナスさんがフラッとニライカナイカフェへ入ってきたのです。
あわてて席を立ち挨拶しようとすると
「あら、珍しいわね、ウーロン茶と麻花(マーファー)、私もそれにしようかしら?」
「娘娘(にゃんにゃん)様、ご一緒いたしませんか?」
「いいの?ではご一緒に、お茶は一人ではつまらないですからね」
で、ペチャクチャと他愛無い話をお茶のお供にしてる三人です。
「そう、肉団子ね……いいじゃないの、私もミートボールは好きよ、今度食べさせてね♪」
「ぜひ!東岳泰山碧霞宮の我が家までお越しください!」
「でも担当部長の景山響子さん、なかなか原価に渋いですよね、大丈夫なの?」
「そこが頭が痛いところなのです、チキンにしても原価オーバー、人件費を考えると三分の一ぐらいでなくてはね……」
「できればポークかビーフにしたいのですが、さらに高くなるし……どうすれば安くできるか、二人で相談していたところです」
「少々味が落ちるけど、物資補給部の扱っているものの中に『大豆肉』ってあるのを知っている?」
「あれ、チキンもどきなのだけど、ブロックにする前のひき肉状態ならさらに廉価に購入できるはず、いちど聞いてみたら?」
「ポークもビーフも同じ様なものがあるけど、これは味覚の点でお勧めできないわ」
「ポークとビーフ?なにが問題なのですか?」
「肉汁のエキスが再現できないのと、すこし大豆くさいといえばいいのでしょうか、淡白なのよ」
朱麗月さんが、
「娘娘(にゃんにゃん)様、すこしサンプルをいただけませんか?色々と工夫すれば、よいものが出来るかも知れません」
「いいわよ、後で景山響子さんに渡しておくわ」
翌日、二人は景山響子さんに呼ばれ、
「ミコ様からの下された物です」
「話は聞きました、上手く工夫してください」
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