えっ、癖になりますね


「ねぇ、こんど東岳泰山碧霞宮の女を集めて、夜伽の技能講習会をしない?」

「城の妓楼の女に、夜の技術を披露させるの、あの女たち、女同士の夜の技術も提供してもらいましょう、目の前でね」


 ……だから陳麗華さん、そんな提案などしないの……どうしてそんな考えになるの?……

 ヴィーナスさん、想像を遙かに超えて行く女達の会話にかなり焦っています。


 このままでは、このとんでもない陳麗華さんの提案に、東岳泰山碧霞宮の『ウェイティングメイド』たる申容姫が乗りそうなのです。


「いい提案ね、夜伽の技能講習会の教師として、陽城の妓楼の女に、女同士の夜の技術を実演させる」

「破格のお金を払えば、妓楼主は嫌とはいわない、東岳泰山碧霞宮の全ての女を教育するのよ!」


 ヴィーナスさん、唖然としていますが、自分が亡国の夢を誤魔化すためのしでかした結果ですので、再度の介入は、もっと状況が悪化しかねないと判断したようです。


 ……夜伽の技能講習会……東岳泰山碧霞宮の皆さんが、技能を身につけて迫ってきたら……あっっっ……


 結局、この陳麗華の提案を申容姫は受け入れ、夜伽の技能講習会が行われたのです、そしてこれが……


「申容姫さん、次の夜伽の技能講習会はいつの予定なのですか?残りのエルゲネコン蒼天宮と西岳崋山白雲宮の女にも参加させるの、経費は参加させる女の所属ハレムに振り替えてもいいわよ」

 中原三宮のチーフウェイティングメイドのアイハンさんの言葉です。


 東岳泰山碧霞宮の女婢、つまり女官のお色気というか、ヴィーナスさんへの奉仕の質が突然良くなったと、ハウスキーパー事務局あたりの評判がよく、アイハンさんも上機嫌なのです。


 すると今度は中原三宮の女官の奉仕の質がレベルアップ、ヴィーナスさんが昼などの休憩に、よく中原三宮の女官に手出しなどするのです。


 ……えっ、癖になりますね……予想外ですね……ご褒美かしら……

 造化三神の思惑での出来事を、隠蔽したのですからね……


 それにしても、陽城の妓楼の女のテクニックとノウハウ、凄いものですね……こんど行って見ようかしら……

 いや、東岳泰山碧霞宮の女として身受け……やはりつまみ食い食いはサリーさんが怖いし……ハレムの女なら怒られる度合いは少ないし……


 今度はヴィーナスさんが、自分に言い訳なんてしています。


「ねぇアイハンさん、中原三宮はニライカナイの女官には公開されていますので、夜伽の技能講習会に、ニライカナイの女官にも、参加出来るようにしていただけませんか」

 サリーさんが、直接アイハンさんに要請しているようです。


「名誉なことです、勿論参加出来るようにいたしましょう、申容姫には私から申しておきます」

 

 東岳泰山碧霞宮主催の夜伽の技能講習会、ニライカナイの女官にも公開されました。


 参加費用は東岳泰山碧霞宮の女は無料、エルゲネコン蒼天宮と西岳崋山白雲宮の女は、所属ハレムに振り替え、その他のニライカナイの女官、つまり『百合の会議』の管轄する女は、個人資格で自由に参加でき、参加費用は個人持ち、その結果は……


 ヴィーナスさんに仕える女官の、奉仕のレベルが一段階上がったといわれています。

 希望者多数のようなのです。


 ……やはりご褒美なのでしょうが……この濃厚なお色気と激しい夜伽……なにか罰のような……やっつけ仕事の罪の結果の罰……

 

 こんな愚痴まがいなことを思いながらも、嬉しそうにピンクの雰囲気を漂わせている、懲りないヴィーナスさんでした。


 FIN

 

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