夜伽が下手では話しにならない


 白い牝鹿婦人戦闘団に入団した、メディの指導員を命じられたのです。

 さらに女官補として採用された、ハディの指導員も……


「メディの指導員は分るのですが、なぜハディの指導を私が?」

 相手は惑星中原の、チーフウェイティングメイドであるアイハン、エルゲネコン蒼天宮の女官長も兼務している。


「貴女の身内なのでしょう?特別にハディを女官補に採用したのよ、誰にも文句をいわれないように、ハディを教育するのは、貴女の責任でしょう?」

「しかし私に、夜伽のテクニックを指導しろといわれても……」

  

「エルゲネコン蒼天宮の女が、夜伽が下手では話しにならないのよ」

「白い牝鹿婦人戦闘団宣誓戦女隊長といえどウマイ女神さまの女奴隷、まさかウマイ様のベッドで、でーんと寝ているのではないでしょうね!」


「……夜伽って……ウマイ様のベッドで裸になって……足を開いて、ウマイ様にこの身をお任せするのでは……」


 アイハンさん、満面朱を注ぐとはこの事でしょうね、鬼のような顔で怒鳴ったのです。


「ウーラポーセン!貴女、いままでウマイ様に!」

 ……

 ここでアイハンさん、ある疑惑が胸をよぎったのです。


「ちょっと白い牝鹿婦人戦闘団の、残りの宣誓戦女隊長をよんで来なさい!今すぐよ!」


 アイハンさん、ヒヤリングなどしてみますと、案の定、夜伽とはウマイ様のベッドで、裸になって身を任せる事、との認識。


「目眩がしてきたわ……これでは蒼天宮の女の評判が……しいては中原三宮の評判が……」

 

 この後、白い牝鹿婦人戦闘団団員は、緊急招集を受けたのです。


「腰の使い方がなっていない!」

「服の脱ぎ方に色気がない!」

「相手はウマイ女神さまなのよ、宇宙一の変態なのよ」

「夜ごとのベッドも戦いなのよ!」


「むしろ夜の戦いの方が、大事なのよ!」

「恥ずかしい?馬鹿ですか!」

「そんな戯言いうなら退団させるわよ!」

「覚悟のない女など入らないわ!」


「いい、女官はウマイ女神さまとの睦事に対しては、何でもありなのよ!」

「戦闘団員といえどウマイ女神さまの女奴隷、頭と身体を使うのよ!」


 徐々にヒートアップしてきたアイハンさん。

 これではいけないと、直々に夜伽の特訓を始めたのです。

 

 この後、女官補も特訓をすることになりました。

 これが案外に好評です。


 ハウスキーパー事務局あたりでは、エルゲネコン蒼天宮の女官の評価は上々、エルゲネコン蒼天宮、しいては中原三宮の希望に、結構耳を貸してくれるようになりました。


 惑星エラムの女官研修所は有名ですが、このエルゲネコン蒼天宮で行われることになった、女官補研修は幼年研修と呼ばれるようになりました。

 ハウスにおけるロリータ課程と同じ、ハレムにおける早期女官教育と位置づけられるようになり、多くのハレムで採用されるようになったのです。


 そうそうメディとハディですが、メディはウーラポーセンの従兵となりました。

 いまではウーラポーセンに、ため口などたたいています。


 ハディは女官補に採用され、足を治してもらったようです。

 ハディは本当に美少女でした。


 その上に幼年研修の優等生、一生懸命に学んだのでしょうね、スレンダーな容姿とは裏腹に、その醸し出される色気は大したものです。

 姉であるメディは、よく妹にお小言を食らっています。


「メディ姉さん、それでは単なる女兵士です!もっと努力して、ウマイ様をたぶらかせる女にならなければ!」

 やれやれと、いう顔をしているメディ。


 そのお小言はウーラポーセンにも……

「ウーラポーセン様!もっと女子力をつけてください!」

「素晴らしくお綺麗なのですから、もったいないですよ!」


「そんな座り方をしない!足は常に閉じるものなのです!」

「馬に乗るときは仕方無いでしょうが、常日頃は足を閉じてください!」

「そんな大口を開けて食べないで下さい!」


 今日も二人は、ハディの機関銃のようなお小言に、肩をすくめています。


 FIN


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