水を配る友達

天獄橋蔵

第1話水を配る友達

【水を配る友達】


 新しいお父さんは僕を食べました。お母さんは泣いてばかり。清めるてくれる水が友達。

僕の新しい名前は『友達』です。これは僕の物語……


「遊ぼうか友達だろ?」


 終わらせよう。想いを綴った。助けが来ると信じた。


「誰も助けに来ないんだぞ?ペン取られて嬉しいだろ?友達だろ?」


 返す言葉が無い。


「友達はパパだけですものね」


 本当のパパと、あの頃のママ、綺麗だった僕を返して、名前とペンと水を返せ!消えてくれよ?友達だろ?


「友達要らない」


心が悲鳴をあげた。


「僕は何も無いのに……何でここに居るの?」


 遺書を書く為にペンを探したが捕まってしまった。


「パパが友達を紹介しよう」


 心を失った。


「……」

「人形の様で面白くないぞ?友達だろ?」


 何も解らない。


「水でも飲みなさい友達だろ?」


 奇跡が起きた。


「死んでくれないかな?友達だろ?」


 言葉を取り戻した。


「友達の分際で!おかわり自由!友達だろ?」


 気絶して水をかけられた。復讐の刃が眼を醒た。


「あの人形壊れたから、次の人形を探すとするかの?どの娘にしようかな?友達になろう!」


 見付けた。


「聖剣アメノムラクモ。雨を降らせる剣だ。待ってろ友達!」


 斬り刻んだ。


「助けてくれ!許してくれ!友達だろ?」

「許す!乾杯!友達だろ?」

「ぐえ!毒じゃと……」

「僕のとお揃い!水上げない!友達だろ?」


 テーブルに僕と倒れた友達。


「水持って来い!友達だろ?」


 ババアが震えながら持って来る。


「水ばっかり飲んでたら……」

「美味しいの!教えろ!友達だろ?」


 ババアは医学書を買って来た。


「飲みすぎたら死ぬ……赤い水流れて脱水症状」


 新しい友達。


「頂戴!」

「お金持ってる?この本高いよ?」

「ふざけるな!これと交換!友達だろ?」

「ふざけるな!ペットボトルの水1本と本100冊じゃ釣り合わんだろ!冷やかしは帰れ!」

「強いのはどっちだ!言ってみろ!金はどうするよ?友達だろ?」


 ボコボコ。


「御代は水で結構です……命だけは助けて下さい!」

「水を受け取ったら友達だ!殺す訳無いだろ?僕がそんな人間に見えるのか?友達だろ?」

「水ありがとうございます!」

「怪我してる!見せろ!友達だろ?」


 水で治療。


「それとな友達に僕の友達預けるからさ?友達増やせ!友達だろ?」


 水で買える。


「伝説の美味しい水?幸運の天然水だって?飲みたい!」


 飲むと知識が湧いた。


「そうか!そうだったのか!友達は北極のペン銀が水からタマゴ拾ってから出来るのか!良し友達増やすぞ!」


 僕は男でも女でも無い。友達が何処で生まれるのか知らない。水が教えてくれた。


「友達に通達!北極行くぞ!ペン銀狩りだ!友達だろ?」


 友達は寒さに倒れて、僕だけ。


「捕まえたペン銀は1羽か、沢山タマゴ産めよ?友達だろ?」


 産まない。何故だ?


「僕の友達を上げれば産むかもしれない!」


 水を上げる。次に幸運の天然水。


「沢山産めよ!水飲め水!友達だろ?友達欲しいよ」


 僕とペン銀……ババアは出て行き残りは死んだ。


「最後の友達なの?また一人なの?元気だせよ?水あるよ?」


 最後の天然水だ。


「おい!しっかりしろ!お前が居ないと……」


 水は底を尽きた。


「死んだら嫌だ!絶対死ぬな!もう薬も復活の聖水も何も無いんだ!お前は僕の友達だから不死身のはずだ!生きろ!一人にしないでよ友達だろ?」


 ペン銀が息を引き取った。


「どうしたらいいんだ……」


 寂しさを紛らわす為に山に出かける。可愛い兎だ。


「捕まえた!友達だろ?」


 観察する……慌てた。


「ダメだぞ?友達が可哀想だよ?友達なんだからさ?仲好くしろよ?な?」


 片方が止めないから殺した。


「悪い友達をやつけたけど睨んでた……僕の事嫌いになったって置いてった」


 山に登り全部捕まえた。


「僕を一人にしないで」


 兎は水だけ飲む。


「頼む少しでも食べてくれ僕のは全部上げる」


 最後の兎は息を引き取った。


「水は美味しそうに飲んでたな、僕はまた一人」


 寂しいから新しい友達を探した今度は川の魚を沢山取って来た。


「ご飯は考えないとな」


 図鑑を調べた。ご飯取りに行こう。


「御代は払うからね」


 水を置いて行き。魚にご飯を上げた。


「そうか!水とご飯か!解ったぞ!僕の楽園だ!」


 また魚を取りに行く。ご飯を食べてる人が分けてくれた。


「美味しい!これ初めて食べる!もっと頂戴!」

「ん?そうか?お前も魚取りに来たんだろ?まあ良いか少し待ってろ」


 初めての友達とご飯を食た。


「これ!どこに売ってるの!僕もお店知りたい!僕にも教えてよ!友達になろう!」

「ん?こうやって作るんだぞ?お前はもう友達だから沢山食べろよ」


 串?


「何をやっている!友達が死んでしまう!止めろ!友達だろ?」

「お前さ?さっき美味しそうに食べてたろ?何言ってるんだ?これ焼き魚だぞ?」

「嘘だろ…僕は一体…何で?」

「焼いてから食べるんだぞ?待ってろよ直ぐにまた火を付けるからな」


 ボコボコ。


「参ったか!友達に手を出したらいけない!友達の友達は友達だから!」

「頭おかしい……そうだ!仲直りしよう!これ上げるから食べろよ!魚じゃないぞ!」

「うん!これ食べて仲直り!僕達友達!ありがとう!」


 ハンバーグだ。


「あーそれさ、お前の好きな動物の友達だぞ?美味しいか?美味しいよな?」


 吐いた。


「何泣いてるの?美味しいから嬉し泣きしてるの?友情の印沢山食べろよ!お前は友達だろ?」


 泣いた。


「お前さ?面白いから友達決定だな!俺の家に来るか?もっと友達御馳走するぞ?来いよ!友達だろ?」


 初めて逃げた悲しい事を知った。


「もう食べれないから水がご飯」


 野菜を食べる様になった。兎のお陰だ。


「僕が殺したのに」


 寂しさに耐えられない。友達が欲しい。手紙を渡して友達を増やそう。


「文字書けないや」


 国中を探す。


「出来た!外に行ける魚の友達は川に帰そう!」


 今までの事を切り取り。歩きまわった。


「新しい国だ!」

「見かけない顔だな?」

「これ見て!僕は友達作りにきた!」

「どれどれ?」


 門番泣きだす。


「大丈夫?脱水症状起こすからこれ上げる!友情の印!僕の友達になって!」

「僕達友達!握手で友達!」


 僕を理解してくれた。


「国王と友達になってくれ!国王も君を歓迎してくれる!友達だろ?」

「うん!僕友達沢山欲しい!ありがとう友達!」


 国王は受け入れてくれた。


「水を別けてくれ!頼む!」

「友情の印!僕達友達!握手で友達!」


 権力と言うモノを手に入れたらしい。楽しい日々が続く。


「友達!お腹空いてないか?水飲むか?遊ぼう!」

「うん!僕達友達!」


 ところが、友達を動物の様に扱う魔女が暴れ出した。


「友達を守ろう!皆!水を持て!友達助ける!僕達は友達だ!」

「友達に続け!友達を守れ!僕達は友達だ!」


 友達は全国中に居る。魔女は富士山に住んでいた。


「聖剣アメノムラクモで倒す!友達を檻から助けるんだ!」


 地獄絵図だった。


「皆もう大丈夫だ友達が助けに来た!ここから出れる!皆助かる!」


 魔女登場。


「何をやってる?ペット達を逃がすとは……お前達は新しいペットだ覚悟しろ!」

「ふざけるな!僕の友達に酷い事するな!」


 僕は戦う。身体が痺れる。


「聖剣アメノムラクモか?何処で手に入れた!」

「僕のモノだ!触るな!」

「お揃いだから友達だ!檻で飼い殺し!嬉し泣きしろ!死ぬまでペット!」

「ふざけるな!僕は僕だ!お前の思いどうりにならない!僕にはコレがある!お前の悪事はここまでだ!」


 水で毒が引いた。体勢を整えて斬りかかった。


「何故だ?タダの水で私の毒が……」

「お前は毒を使って無い!インチキだ!ラベルを見ろ!」


 魔女驚愕。


「酸素水とは……殺せ!殺してくれ!」

「僕が一緒に頭を下げる!謝りに行くんだ!皆優しいから……」


 魔女は笑う。


「お前は優しいの。これを受け取ってくれないか?」

「コレは?何だ?銀色の小瓶?」

「本当に強くなった時に倒せ!中には災いが封じてある。今のお前では無理だ」

「解った!お前は理由があって悪事をしてたんだな?」

「心が読めるか?お前は蝶じゃな。友情の印を受け取れ!」

「蝶?ペン?僕は文字書けないよ?」

「書く必要は無い」

「僕は友達が死ぬ所は見たくない。水飲め!」


 魔女は毒を取り出した。


「お前は史上最強の蝶!私を超える魔女!いや魔王かもしれん!」

「僕は友達だ!あだ名は要らない!それは名前の様で……記号だ!」


 魔女が笑う。


「それが名か……最後の蝶に名前をやろう」

「要らない!僕には必要無い!僕は友達だ!」


 魔女は構わず言葉を紡ぐ。


「純水の蝶々。蝶が古来から誕生を願った人類の切り札。お前なら使いこなせる」

「欲しく無い!僕は友達だ!」

「お前はまさしく切り札!だが最強の蛾も誕生してる。負けるで無いぞ?人類に逃げ場は無くなる……全て無に帰る」

「僕が友達を守るんだ!僕は友達だぞ!」

「ふふふ。お前なら救えるかもしれんな友達には気を付けろよ」


 魔女の銀色の香水瓶とペンを友情の印として受け取った。


「友情を受け取った。お前は最後は僕の友達として死んだ。ありがとう友達さよなら友達……記号は忘れるよ友達だろ?」


 魔女の悪口は言わないでと頼んだ。


「新聞には乗って無い!テレビにも乗って無い!」


 しかし噂は絶えない。


「友達!聞いたぞ!大活躍だったな!」

「僕は自慢話はしないんだ。友達が嫌がるから」

「友達は友達思いだな!」


 友達が厭らしい目付きだ。


「なあ、遊びに来ないか友達だろ?」

「僕は友達だよ?」


 諭した。


「そうだったな、お前は皆の友達だもんな!ごめんね」

「友達だろ?」

「友達だな!」


 色々誘われる機会が増えた。ポストを確認。


「手紙?」


 医師免許?


「ただいま」

「ただいま」


 誰か居る。慌てて電気を点ける。


「おめでとう!君は今日から世界のナニカの医者だ」

「おい!お前!服を着ろ!恥ずかしく無いのか!友達呼ぶぞ!」


 服着て無い。


「慌てるで無い!これは着ぐるみじゃ!」

「悪趣味だ!友達呼んで来る!」

「待て!純水の蝶々!」


 魔女が言った単語!?


「お前は誰だ?」

「お前を迎えに来たぞ。服を着るから待つんじゃ!もういいぞこっちを向け!」


 明らかに速すぎる。


「ほれ服を着たぞ!」

「ぎゃー!汚い!寄るな触るな近寄るな!友達に通報する!」

「馬鹿には見えない服じゃぞ?」


 全裸……


「家では全裸がユニホームじゃ!じゃが嫌われても困るの」


 謎の人物はモゾモゾしだす。


「おい!いいぞ!目を開けろ!」


 半目で確認。


「おい!コスプレか!宇宙飛行士に友達居ないぞ!」

「これは宇宙服?宇宙服じゃない?作ったのはワシ?ワシじゃない?自由じゃぞ?」


 問答無用!


「そこになおれ!」


 切っ先が触れる寸前で相手がペンを出した。


「お前はこれを持っているから蝶じゃ!しかも人類史上最強じゃ!おめでとう!」

「お前は誰だ?」

「……」

「おい名乗れ!」

「名乗ったぞ?聞こえ無かったか?」

「黙っててたら解んないだろ?答えろ!」

「0点!いや、お主を表わす記号じゃったな1点!おめでとう!」

「僕は馬鹿じゃない!友達だぞ!」

「1点満点じゃ!過去最高得点じゃ!ワシも甘口じゃの!ふぉふぉふぉ!」

「むう!馬鹿にして!叩き斬ってやる!」

「野蛮な事は嫌いじゃ!止めるんじゃ!」

「止めて欲しくば……」


 蹴り?息が?


「お主は水が好き?嫌い?水は誰のモノ?ワシのモノ?」

「水……」

「水を配るという発想はワシも想定外じゃった!まったくドラ息子め破門にしたとたんにコレだ!面白い!100点!」

「何か解んないけど話聞くよ?友達になりたいんでしょ?」


 謎の人物は驚いてる。


「お主のジジじゃぞ?何故驚かん?お主の親父のお父様じゃぞ?」

「友達?そうなのか!何故酷い事するんだ!答えろ!」

「お主コレは何だ?教えろ!今すぐ答えろ!全部答えろ!早急にだ!ワシの知らない概念は在ってはならん!人類を滅ぼす気か!友達だろ!」

「はあ?馬鹿なの?死ぬの?変人で変態だからな!教え無い!ごめんね!友達だろ?」

「お小遣いじゃ!ワシはお主を気に入ったぞ!馬鹿息子がこんな隠し玉を持ってるとはな!ふぉふぉふぉ鼻が高い!」


 切手?これ何だ?お金じゃないぞ?


「おもちゃの紙見せて何になる!大体僕は文字が書けない!僕をコケにすると友達が黙って無いぞ!」

「馬鹿な……そんな馬鹿なあり得ないぞ!ワシがドラ息子に負けるとは……」

「さっきから意味解んない!友達呼ぶぞ!」

「お主の友達の友達じゃ!だから友達じゃ!良いな!これを見て解らんのか!」


 知らない単語だな。


「お主まさか!これを見ろ!答えろ!全部だ!はよ!」

「ああ!解った友達だ!」

「ワシはこれで、ドラ息子がコレで、お主はこれじゃ!だから友達の友達じゃ!良いか分かったな!すっきりしたぞ!偉い!」


 メンドクサイな。


「はあ?解んない友達だな!全部友達だよ!0点!」


 なんか泣き出した。


「決めた!ここが今日からワシの書斎じゃ!これは傑作じゃぞ!最強は伊達では無いな!ふぉふぉふぉ!」

「僕の家だけど?出てけよ」

「ふむ!勝った!世界中ワシの家じゃ!ここもワシの家じゃ!友達だろ?」


 はあ?


「ただいまは僕の専売特許だ!友達のパクルのはいけないって習わなかったの?」

「習わなかった!僕達友達!握手で友達!」


 握手してきた。寂しいのかな?


「仕方無いなまあいいけど」

「良い子じゃ!ワシの最愛の孫決定!ああ友達の事ね!それとワシがドラ息子を作ってお主が生まれた!ワシの手柄じゃ!ワシの物語じゃ!オリジナルじゃ!ワシ偉い!流石は友達!」


 一緒に住む事になって割と時間が経った。色々あったけどあんまり帰って来なくなったな。


「ただいま!純水の蝶々よパーティーに参加決定じゃ!ワシの手柄じゃ!全部ワシ!」

「面白そう!何するの!行く!」

「ふぉふぉふぉ!今から会場へ行くぞ!」

「うん!」


 会場に到着してクジ貰った。


「僕は0番か当たると良いな」


 外れたけどまあいいか。


「当選した方。前へ景品を授与します」


 景品?ってか僕に近付いて来るの何で?


「友達だろ?」


 タッチされた。目付きが厭らしい……


「嫌!助けて友達!」


 誰も助けてくれない。


「止めるんじゃ!友達に手を出すな!ワシの孫に手を出す意味が解っておるのか!」


 助かった!


「逆族を捕らえよ!」

「はは!」

「燃やすのじゃ!」


 火炎放射器?


「だめ!友達は違うんだ!僕が悪いんだ!友達を殺さないで!助けて皆!友達!」

「3文芝居つまんねーからストップ!糞ジジイを連行しろ!」


 誰か来た。


「ダメ!皆友達!止めてよ友達!」


 助けてくれた子は僕に似てる。僕より目が澄んでる。


「殺さないって俺が信じられないの?友達だろ?」

「ありがとう!助かった!友達になろう!」

「友達だろ?」


 気になる!


「友達!名前は?僕は友達!」

「俺?あー名前嫌いだからさ?言いたく無い。友達だろ?」


 知りたい!


「教えて友達!僕は友達!」

「うーん困ったな?えーと火炎の蝶々って呼ばれる時もあるよ?」

「火炎の友達ありがとう!」

「ちょっとゴミ掃除してくるね!待ってて友達!」

「ゴミじゃない!友達燃やしたらダメ!僕怒る!嫌だ!友達減るの嫌だ!」

「ふう、まあいいか糞ジジイは拘束するだけ!良いな友達だろ?」

「解った!だけど何で?原因が解らないよ?」

「ああ?絶対教え無いからね!友達だろ?」

「えー?」

「ダメ!」


 仕方無い。教えてくれなそうだし。


「ありがとう!友達!」

「友達だろ?」



それから暫くの事。蝶と蛾が仲好くするらしい。


「パーティーの招待状だ!待ってました!」


 会場には沢山の友達がいた。水や酒を飲んでる。最強の蝶が生まれたと紹介された。最強の蛾はあの子だな?


「以上です」


 え?


「おい!最強の蛾は生まれてねーのかよ!俺だろ?俺?俺だって思う人挙手!友達だろ?」

「はい!僕友達に一票!友達だろ?」


 シーン。


「これにて閉幕」


 終わりなの?


「おい!ざけんな!俺だろ?いつまで隠すんだよ!ふざけるのも大概にしろって!おい!答えろ!俺だぞ!」

「……」


 友達が友達を真剣に見つめてる。火炎の友達が僕の方を睨み付ける。


「何か困った事あったら俺に言えよ!友達だろ?」

「解った!相談する!友達だろ?」


 僕達は、お互いを意識しだした。


「友達様!水ばかり飲んでますが?お腹空かないですか?」


 無視する訳にも行かない。


「僕は友達!タダの友達!変なあだ名嫌だ!絶対言わないで!お願いだから!」

「かしこまりました!友達様」


 嫌だな。火炎の友達来ないかな。


「火炎の友達来て欲しいな」

「来たぞ!友達だろ?」


 火炎の友達が遊びに来た。


「わーい!願い叶った!」

「おい!元気か?俺は元気だぞ?これ飲むか?美味しい水だぞ?」


 お酒?


「飲めないよ?ごめんね友達だろ?」

「早く大人になれると良いな」

「うん」


 僕は気付いてしまった。火炎の友達の嫉妬に……出かけよう。


「水と本交換!友達だろ?」

「全部タダで持って言って下さい!友達だろ?」


 本屋の友達もか、帰って本読もう。


「成程、じゃあ僕は何だろう?」


 読む程に意味が解んない。


「蝶々と蛾。解んないな」



 火炎の蝶々が、蛾と蝶に反乱を起こした。


「燃やせ!家ごと燃やせ!全部燃やせ!世界を燃やせ!」

「止めろ!家が燃える!本が燃える!人が燃える!許さないぞ!」


 戦力差は圧倒的だ。


「水だ!火を消せ!火炎を捕らえるんだ!」


 火炎は捕らえられて処刑された。どうする事も出来なかった。帰って火炎がくれた酒に文字が書いてあった。


「勘違いするな!俺が全部蛾だ!お前は水を配れ!」


 僕は火炎の遺言を受け取る。


「解ったよ世界中に水配って友達を作る僕は友達が欲しいだけなんだ……」


 僕は旅に出た。知らない土地を目指した。世界中に水を配った。

 誰も僕を潤してくれない。

 僕は渇いてるけど、沢山求めても沢山出来ても満足しない。

 脱水症状も無いし中毒にもならない。

 気付いたら遺言が仇になってた。


「友達に水配ってるのに友達減ってる!?」


 友達に水を配る。友達は僕に感謝する。それは良いのだが、助けた友達の中に僕を好きだと言って追いかける人が出てきた。


「何で?」


 因果関係を考える。人々は水を飲む、ご飯も食べる。


「食べ物が怪しい」


 調べた結果。食べ物のある物質がホルモンバランスを傾けて水が中和する。影響は微弱。だからこそ絶大な効果がある。


「水で治療する」


 受け取った人の中に軽い症状なら抜ける人は沢山居た。感謝して配ってる銘柄を飲む。水はタダの水。だけど目が僕の心を殺す。


「誰か僕を助けて!心がカラカラだよ……」


 食べ物の中で性欲を増進衰退させる物質に気付く。行動したが、僕を利用する者達に制圧されてて手出し出来ない。


「僕が守ってみせる!」


 水が中和する。飲む人は少々楽になる。噂を聞いた人が僕の水を欲しがる。僕は水を配る友達。


「神様じゃ無いよ?友達だよ?」


 前より高い確率で色々中和する。僕を好きになる人が増えた。でも追いかけられる事は無くなった。影の者達が頼みもしないのに僕を守るからだ。


「オカシイよ」


 僕が偶像崇拝の対象になってて、性欲処理の材料に使われてる。最悪だ。僕は水を配る友達。


「僕をまた汚すの?皆を助けてるのに、酷いよ。止めてよ」


 性欲処理してる人が僕無しでは生きれない身体になってきた。

 僕を想えば増進する嫌えば減退する。僕は中性的な顔をしてるし誰にでも似てる。

 僕に似た人を探すがいつか別れる。また僕を想う。

 無限の地獄が広がって行く。誰も止められない。僕は水を配る友達。


「僕は神様でも天使でも無いよ……好きにならないで友達の皆」


 段々と男性は居なくなり女性だけが残る。

 僕を育てた悪い王様のシナリオどうりに進んでる。

 でも水を配るのを自力で止める事が出来ない。唯一のカウンターは死んだ。僕は水を配る友達。


「誰か助けてよ友達が居なくなるよ……」


 僕は全ての友達が滅びた後に幸運のお守りを飲むだろう。

 配り終わると最後。悪い王様はもう居ない。

 蝶や蛾の中に僕の水を大量に飲む者が多い。

 世界に救いの神は居ない。僕は水を配る友達。


「誰か僕の友達を助けて!僕は友達が好きで好きで仕方無いんだ!」


 魔女は誰なの?悪い王様は何の目的があったの?どちらも死んでしまった。

 残ったものは『友達』『幸運のお守り』


「僕は誰?意味はあるの?」


 友達が滅びるの嫌だよ……何で僕を想うの?


「僕は好きになってくれる友達を騙してるのに?」


 僕は無性だ。子供は作れない。しかし男女共に人気。僕は想われる資格は無い。僕は水を配る友達。


「僕は友達なんだよ?」


 僕は救いじゃ無い逆に破滅を与えてる。

 誰も気が付かない悪くも言わない。知ってる様で知らない。僕は水を配る友達。


「助けて、僕は滅ぼすしか出来ないんだよ?」


 僕は『友達』と言う名前を恨んだ。『幸運のお守り』は飲みたく無い。

 カウントは終焉に近づいてるし確実に進む、もう引き返せない。僕は水を配る友達。


「一人ぼっちは嫌だよ死なないで」


 僕は最後の友達に水を渡す。破滅した。


「僕は誰でも無い。友達はもう居ない。僕の所為だ」


 僕は『幸運のお守り』を飲んだ。

 中身は水道水だ。解っていた。僕を最初の穢れから守ってくれた大事な水。僕の掛け替えの無い友達。僕の隣に居て僕が弱っている時に助けてくれる。僕を裏切らない唯一の存在。

 僕は友達を食べない、飲む事もしない。僕は水を配る友達。


「兎と魚。君達を食べなくって良かったよ」


 最初に僕を守ってくれた友達を口にした。一番嫌な行為。焼き魚を思い出す。兎達に謝らないと、水に帰した魚達は元気かな?もう良いんだ。僕に許しが与えられたんだ。


「もう僕は僕じゃ無い。解放してくれてありがとう。やっと終わる」


 最後の友達から貰った酒を飲む。苦むが中々死なない。何で?量が足りない?終わらせるんだ。

 国中の酒を飲み死ぬ方法は全部試したけど、死ねない。どうして?


「僕は死にたいんだ!友達の居ない世界で一人は嫌だ!僕を殺す友達は居ない」


 嫌になった。最初に旅をした時の手紙を読み返した。北極だ。死ねないけど眠れる場所。旅をした乗り物に乗って北極に向かおう。


「水の故郷は眠る事の出来る最後の楽園だ」


 冠のペン銀が1匹。僕は捕らえたペン銀の事を謝った。


「お前は許されない」

「永遠に償う……僕は大好きだった友達を滅ぼした」


 僕は人類最後の友達。産む事どころか死ぬ事も許されない。『無』だ。氷の棺で眠っている間に考える。


「友達おやすみ……最後は僕だ」


 僕は何だったの?何の為に生れたの?何で汚れたの?何で出合ったの?水を配れば友達が出来ると信じてた。

 でも残った友達は僕だけ。永遠の孤独で目覚める事すら許されない。

 長い夢路で『夢幻』と『無限』を知る。


 無限の眠りの中で夢幻の知識を視る。僕は悪い王様と魔女の子供。

 友達が欲しくて全てを失った『友達』の名前を使う魔王。


 僕は何処にでも居る。物語の蝶は人類の歴史。

 僕は動物も友達だった。始まりから僕は居た。誰にでもなれるが誰でも無い。何処にも居ない。


 僕は『友達』ただの記号。僕は『友達』番号も無い。僕は『友達』名札も無い。僕は『友達』概念も無い。僕は『友達』意味も無い。僕は『友達』こんな名前は嫌だ!僕に命をくれ!


 僕は『水』純水でトウメイな世界のナニカ。僕は『水』毒や薬にもなれる。僕は『水』無いと死ぬ。僕は『水』飲み過ぎても死ぬ。僕は『水』誰にでも手に入れる事が出来る。


「ごめんね大好きな友達」


 水の様に自由で何処までも世界を旅して、渇きを潤す為に満たされない心の動くままに、止まる事を知らず友達を蝕む。

 どんな結末だろうと誰にも止められない。水を配る友達。


「僕は産まれた時から破滅を呼ぶ存在だった。でも知らなかった」


 世界は水と友達が溢れてる。

 潤いを求めて、世界のダレカに水を配る。

 世界のドコカで友達を虜にして、無償の愛で溺れさせる。地球を滅ぼすタダの水。

 純水に無垢で透明な自由を願い。ダレカ一人どころか自分すら救えない悲しき友達。


「僕はただ友達が欲しかっただけなのに、酷いよ!あんまりだよ!返してくれよ!」


 世界に水を飲まない友達は居るのかな?


「僕は水に戻りたいよ。友達居ないから解けて無くなりたいのに。産まれて来ない方が良かったよ。僕が愛した友達。助けて友達」


 何も無いから友達に水を配ってた。沢山の友達が出来るって信じてた。僕には友情が無かった。我儘な僕の傲慢が全部奪った。


 僕は路を選んですらないタダの子供。大人になる事を許されない無邪気な子供。友達の事を知らない寂しい兎。水に帰りたい魚。


 友達沢山欲しかった僕が全部殺した。何の為にこんな想いをしないといけないの?


 一番綺麗な水だったよ友達に大切な水を別けて仲良くなって、僕の心を綺麗にしてくれるって信じてた。叶う日が来るのを祈っていたよ。僕は愚かだ。


 氷の棺で永遠に友達の夢をみるんだ。目覚める事は無いよ永遠に愛し続けるよ。もう帰れ無い。でも帰りたいよ……


 死ぬ事を許されたら、また生まれ変われる事が出来るなら……僕はまた友達を求める。今度は僕が助ける。絶対に守り貫いてみせる。友達だからずっと一緒に隣に居て欲しい。


 来世が来たとしたら、また僕は友達に水を配る。僕は水を配る友達。


「幸運の天然水あげる!友達だろ?」


ーfinー


『純水の自由』『友達』

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