平野と水野②
「バイトの面接どうだった?」
ある日の放課後、水野は一度バイトの面接を受けに行って、平野が待つ空き教室に戻ってきた。
「……見事に落ちたわよ。誰かさんによって、いつの間にか履歴書がすり替えられてたおかげでね」
怒りの水野が平野に突き出した履歴書の内容が、これ。
・氏名 水野美音 ――人呼んで孤狼――
・特技 魔の魅惑
・免許、資格 各最上位級邪神と血の盟約を交わしている
・志望動機 自分の中のリトル水野が言った
・長所 各最上位級邪神と血の盟約を交わしていることによる精神耐性、ヘイト値上昇の抑制
・短所 パーソナリティの欠如
「魔の魅惑をやってみてくださいって言われた私の気持ちがわかる?」
平野、大爆笑。
「そして長所だよ。すでに全然正気を保ててないんだよ。思いっ切り中二ものに精神を侵食されちゃってるよ。面接官のヘイト値ハンパじゃなかったよ。全然抑制できてないよ。そんで、パーソナリティは全然欠如してないよ! 逆だクセが強すぎるんだよ!」
平野、腹を抱えて大笑い。そんな彼女に、水野、言った。
「……私に大恥をかかせてくれた落とし前をつける覚悟はできてるのよね?」
この後、ピクリとも動かなくなった平野の体が、水野により校舎裏に捨てられる光景が目撃されたという。
(お読みくださりありがとうございました。続きます)
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