第2話 四季秋子
「お兄ちゃんただいまーっ!」
「おかえりっ…ってうわっ!」
「えへへ〜お兄ちゃんの匂い〜!くんくんっ…すりすりぃ…」
「もう…帰ったら手洗いうがいが最初だよ?」
「はーい」
帰ってくるとすぐに僕に抱きついてきたのは、僕の妹の"四季秋子"。昔から僕に懐いていていつも甘えてくる。甘えてくる秋子はまるで尻尾を振っている犬みたいに可愛い。
ただ、兄としてはそろそろ兄離れしないとまずいのではないか、と思ってしまう。まあ嫌われるよりは好かれてる方がいいんだけどね。
「…にぃ…ゃ……!」
ちなみに、妹の秋子は僕より一つ年下で身長も10cmくらいの差がある。春姉に似て胸は大きく髪もとても綺麗なのだが、身長だけは…。
それでも、ただでさえ大きなものを持っているのに抱きつかれると柔らかいものが当たって…って妹に対して何考えてるんだろう、僕は…。
「お………ゃ…ん!」
そういえば、今日は宿題どのくらいあったっけ…
「ちょっとお兄ちゃん!聞いてる!?」
「へっ?な、なに!?」
「もう、ぼーっとしてなに考えてたの?さっきから呼んでるのに…」
「ご、ごめんごめん。今日の宿題について考えてたんだ」
「あ、あー…宿題…ねぇ…」
「秋子は一応受験生なんだからちゃんと勉強しなきゃだめだよ?」
「…勉強、やだ」
秋子は勉強が嫌いだ。ずっと座って机に向かうのが辛いんだろう、その代わりに運動は得意みたいだけど。
「…うーん、ちゃんと勉強して頭良くならないと高校行けなくなっちゃうよ?」
「別に偏差値が高い高校じゃなくてもいいもん…」
「…じゃあ僕と同じ高校じゃなくてもいいんだね?」
「え!?やだやだやだ!お兄ちゃんと同じとこがいい!」
「じゃあ勉強しないとダメだよ…」
「むぅ…」
少し不機嫌な時はリスみたいにほっぺたが膨らむ。やはり可愛い。
「じゃあさ、お兄ちゃん。毎日勉強頑張ったら一緒にお風呂入ったり寝たりしてくれる?」
「へ?」
「お兄ちゃんからご褒美とか何か貰えないと多分続かないから!」
「う、うーん…」
どうしたものか。姉といい妹といい、どうして僕と一緒に何かをしたがるのか。普通この年頃なら兄とか嫌われてるものじゃないんだろうか…
「…だめ?」
上目遣いは卑怯だぞ、妹よ。
「うっ……じ、じゃあ、2〜3日にどっちか1回ってのはどう?」
「えぇ〜!毎日はダメなの!?」
「…春姉とかがお風呂に入ってくる時は狭くて入りにくいでしょ?」
前に秋子とお風呂に入っていたときに、春姉が入って来たことがある。その時はみんなで湯舟に入るものだから狭くて動き辛い上にお湯が殆ど流れてしまった。
「まあ、それもそっか。じゃあよろしくね!お兄ちゃん!」
「とりあえず春姉たちには僕の方から言っておくよ」
「ありがとうお兄ちゃん!お兄ちゃん大好きぃっ!」
……これも四季家の日常の一部分である。
四季家の日常 @midwinter
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。四季家の日常の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます