5話 天空にいる人類と10000分の1だけの繋がり

「後ろにも宇宙船が来たよ」


錬の言葉に、沙羅が監視モニターを見ると、既に沙羅たちを乗せた宇宙船は5機の宇宙船に囲まれていた。嫌な汗が流れた。


沙羅の焦りを感じた錬だったが、まだ沙羅の手を握る勇気はなかった。

仕方なく沙羅は1人拳を握りしめた。


無線回線モニターには、ヤーシャのニヤついた顔が映っていた。

そのアンドロイドの顔は、やたら人間味にあふれていた。


悪い意味で。



『サマルカンド・鉱物資源企業団公社ビル前』


空は厚い雲に覆われ、青空は見えなかった。

強い風が、宇宙港のある街に吹き荒れていた。


久しぶりにエミーに会ったコーリーは、よほど嬉しいらしく笑顔を崩さなかった。


ソフィーは呆れつつコーリーに

「こんなに内務省がわんさかで、うちの子たち(アローン兵)の補給は受けられるの?」


「内務省が押さえているのは、このビルと幹部連中だけで、工場や補給施設までは押さえていない。いいか、今は幹部連中に会って現状を把握するのが先だ、そんな焦る必要もないだろう?」


「私が焦ってる?」


ソフィーは呟き、ふと空を見上げ、天空にいる人類を思った。


距離があり過ぎて、人類の宇宙船内にいるアローン兵との繋がりは、気象状況に左右され通常の10000分の1程度だ。


その10000分の1の繋がりで、ソフィーの心と人類の少女が繋がっているような気がした。


今、ソフィーの心に広がっている【焦り】は、きっと人類の少女から伝わってきた想いのような気がした。


それが、あまりにも人間味に満ちていたから。


良い意味で。




つづく




いつも読んで頂き、ありがとうございます。

毎週、土曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!

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