13話 むしろ私のソフィーちゃんやし!

『西都・サマルカンド』



鉱物資源企業団公社ビル最上階の総裁室で、総裁が騒いでいた。


コーリーの目の前の総裁は、直径1メートルくらいのテニスボールだった。

かなり高額な機体だ。


その姿で、総裁室を跳ね回るのは、かなりウザい。

総裁室のスタッフは慣れているのか、何の反応も示さなかった。


コーリーは、巨大なラケットで、総裁を思いっきり打ちたい衝動を覚えた。

しかし、その衝動に従えば、コーリーの5000年の計が、無駄になるのは明らかだ。


もし打ったら総裁はどんな反応をするのだろう・・・


「どう言う事だ?

街の騒ぎを煽ったのは、コーリーお前の仕業か?」


「いいえ、報道通り、下町で装甲騎兵と民衆のトラブルが、原因と思われます。」


「何故、抑えられなかった。」


「我々も万能ではありません」


・・・限られた資金で出来ることなど、限られている。


総裁がそのテニスボールになる為の金を回してくれれば、これくらいの仕事は、すぐにでもしてやるが、この総裁に取って、テニスボールになるのも、反乱を起こすのも、同じ様な娯楽の一種なのかも知れない


嘆かわしい・・・


嘆かわしい総裁は勢い良く跳ねると、吹き抜けの高い天井に跳ね返って帰ってきた。そして、


「これを機に議長が動き出す。

ソフィーはどうした?まだ、接触は出来んのか?

私のソフィーちゃんは、まだ会いに来ないのか!」


お前のソフィーちゃんじゃねーし!

むしろ私のソフィーちゃんやし!


まあソフィーを捨て駒にしたのは自分だが、それはそれだ。

そんな事を思いつつもコーリーは、冷静に返答した。


「まだ、連絡はございません。」

「丸腰で議長と戦えと言うか?私のソフィーちゃんは・・・」


だから私のソフィーちゃんだっつの!


コーリーは思考回路上で、その大きなテニスボールを、スマッシュした。

心地よいスマッシュだ。


コーリーの思考回路上で、思いっきりスマッシュを打たれたテニスボールの総裁は、意外と嬉しそうだった。


「コーリーくん、いいね!

良いスマッシュだよ!コーリーくん!素敵だよ」


コーリーの思考回路上で、総裁は楽しく弾んでいた。




つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る