12話 はい、その様です

ー鍾乳洞最深部ー


ソフィーはアローン兵のカメラを借りながら、鍾乳洞の奥へと歩みを進めていた。


自分自身の姿を確認しながら、自分ではない視点で、動くのはちょっと不思議な気分だ。


見ている対象物の中に自分が存在していて、それは他者のようであるが自分自身。


「あっ!」


自分が小石に躓いて、かなり派手に転んだ。

周りのアローン兵たちが、すぐに自分を立ち上がらせてくれた。


「ありがと」


立ち上がった自分は、そう言った。

鍾乳洞入り口付近から、爆音が響いてきていた。


カーン少佐配下の装甲騎兵達が、仇を討つために、鍾乳洞内に侵入し仕掛けれた、

トラップに接触した為に起きた爆音だろう。


「機械の癖に感傷的になって、闇雲に突進していると見える」


ソフィーは黒い装甲を纏った参謀兵に言った。


「はい、その様です。」

「そっけない・・返答」


戦うことしか知らないから、仕方ないか。思えば悲しい機械達。

背後のかなり近い距離で、爆音が聞こえた。


ソフィーの意思に反応した最後尾のアローン兵が、素早く背後を振り返り暗闇を凝視した。


「ご安心下さい。ここへ通じる通路を塞ぐために、岩盤を爆破した音です」


指示していないのも関わらず、勝手に爆破?

人工知能搭載されてないはずだが、それとも事前にプログラムされていた戦術プログラム?


人工知能プログラムと言っても、ピンきりだし・・・


まあいい。


「奴らは出口の無い迷宮を、私を追いかけて爆風の中を彷徨い続けるって訳か」

「はい、その様です」

参謀は、またそっけなく答えた。


ソフィーは微笑んで、

「はい、その様です」

と真似てみた。


参謀がどう反応するのか、いくつかのアローン兵のカメラを使って、その様子を伺った。


参謀兵はどう返答してよいのか解らず、数秒の沈黙の後、やはり


「はい、その様です」


と再びそっけなく答えた。


「だよね」


ソフィーがまた真似をしようか迷っているうちに、ソフィーの前方にいるアローン兵が、古めかしい扉をこじ開けた。


そのアローンの目を通じて、ソフィーは目の前に広がる、古い遺跡の様な光景を目にした。



つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!

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