7話 壊れた玩具と遠い銀河


『反乱軍司令部塹壕後』



カーン少佐率いる装甲騎兵と情報将校達が、反乱分子の掃討作戦を展開していた。


空軍の激しい爆撃の結果、巨木は倒され、容赦の無い太陽の光が照らす反乱軍司令部塹壕跡には、巨大な穴が開いていた。


その穴の底から鍾乳洞の乳白色の柱が、太陽の光を浴び妖艶な人の肌の様に輝きを放っていた。


カーンは、その妖艶な白さに、まだ人としての肉体を持っていた頃に、感じていた官能的な感触を思い出しかけていた。


塹壕跡では、反乱軍のアンドロイドの破片が転がっていた。


情報将校達は、その中から、記憶装置と思われる破片を広い集めていた。


「壊れた玩具の様な機械の破片、そんな物に頼って生き延びている自分って何だ?」


そんな事を何千回想ったところで、明日が変わる訳ではない。


地底に広がる鍾乳洞の奥から、まだ掃討作戦を行なっている装甲騎兵の銃撃の音が、散発的に聞こえてきていた。


カーンの記憶装置の奥から、妖艶で官能的な感触が湧き上がってきた、まだ人間的な感触が残っていた事に一瞬にやけた。


思い出したのは人間だった当時の妻。


アンドロイド化した後50年ほど結婚生活を送ったが、結局、離婚した。


そして妻は、

「この玩具みたいな機械の体が動かなくなるまで、

私は未知の宇宙を冒険したい。玩具は楽しむ為の物でしょう」


と、伝言を残して、どこかの銀河系を目指して、太陽系を脱出した。


「玩具か、しかし銀河か遠いな。」


カーンは、空を見上げた。

太陽が、じりじりと地面を照らしていた。


「熱い、脳のICが焦げそうだ」


その時、散発的だった銃撃の音が、激しい銃撃戦の音に変わった。


「反撃か?」


記憶装置の回収をしていた情報将校達も、穴の入り口に集まって、地底の底を覗いた。激しい銃撃戦の音は止むことが無かった。


「装甲騎兵に反撃できるだけの戦力が、反乱分子に残っていたとは思えんが、新たな敵か?」


カーンは他人事のように呟いた。



つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!

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