6話 旅は絶望を忘れさせるらしい。
青、シアン色と呼ばれる青緑。
商都サマルカンドは、青の都と呼ばれるだけあって、ほぼ青に埋め尽くされていた。
惑星首都の整然さとは違い、商都サマルカンドは、騒然とした活気に満ち溢れていた。
目に留まるのは、変形するアンドロイドたちの存在だ。
飛行タイプに変形し、空を飛ぶ者。
車に変形し、疾走する者。
ただモノリスと化している者。
機械の可能性を楽しんでいるのだ。
宇宙港のもらたす富と力が、それらの自由を保障しているらしい。
他の都市ではそうは行かない。
一般の労働型アンドロイドが、自らが所属する都市から他の都市へ行く事は、ほとんど無かった。
特別な制限がある訳ではないが、行こうと思う気が起こらなかった。
>記憶更新の際、思考や価値観を変えられているのかもしれない。
デューカは今まで感じたことが無い、新鮮な感覚を感じながら思った。
>記憶の改変の可能性を認識するだけで、こうも感覚が変わってくるのか。
太陽に照らされたシアン色のサマルカンドは、眩しく輝いて見えた。
>ソフィーやサムエルも、あの工業地帯以外の景色を知っていれば、絶望に捕らわれ ることも無かったのに。旅は絶望を忘れさせるらしい。
政府は【アンドロイドの歯車化】を目指していると言うのは陰謀論の一種だが、移動を制限させようとする行為は、そう思えなくもなかった。
街の外れにある宇宙港から、鉱物資源運搬用の貨物宇宙船が、宇宙を目指して飛び立って行く姿が見えた。
デューカはその勇姿に見とれると同時に、何かの違和感を感じた。
まだ人だった時の柔らかい感触だ。
>なんだろう?
>この違和感は
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!
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