14話 記憶の中で、何万回と再生した愛する人の記憶

5000年前、デューカは人としての人生を終えた。


デューカが人間として死を迎えようとしている時、その臨終の席には、まだ人間だった頃のソフィーが、デューカの手をしっかりと握っていた。


デューカの手を握るソフィーの手は、暖かくそして柔らかかった。

5000年の間、デューカの記憶は何百回の更新と、バックアップの結果、

人間だった頃の記憶は途切れ途切れになっていたが、その時のソフィーの手の温もりは、消えることは無かった。


デューカの死後、ソフィーも人間としての死を迎えた。


その時は、機械となったデューカが、ソフィーの死を見取った。

ソフィーの命はソフィー体から、少しずつ遠ざかって行き、ソフィーは人間として死んだ。


人間時代のソフィーとの思い出を、デューカは記憶の中で、何万回と再生した。


古いレコードを何回も聞き返すように・・・


ソフィーとの思い出は、世紀の名曲に匹敵する程、素晴らしい記録だった。


「あの時、俺達は何もかも終わってしまったのではないか?

だとしたら今の俺達は何だ?」


デューカが想いに耽っていると、人間だった頃と同じ音質でソフィーが


「デューカ!作戦会議中だよ!ちゃんと聞いて」


と。


人だった時もボーとしてると、「ちゃんと聞いて」と叱られてた。

デューカは、サムエルの視線がなければ、ニヤけていたはずだ。




つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。 o(≧▽≦)o

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る