Mayday

暗い暗い 晴れをかざす

黄泉の果てに 君は誰

ナイフを手にした理想も

今では

黒を纏って迷走中

さあ無慈悲に

爪弾き 波はじき

おさまると 教わるの


紅のもとに

五月一日の

形骸化したMayday

形をとる 平等の行進

鎌と槌はいつの間にか

ぼくらの頭上にあった

待ち望んだ名君は

もう永遠に廟に眠るのに

今夜も安らかな眠りは訪れない


メーデー

ぼくら 息をしよう

変わらぬ背中に中指を

メーデー

今宵は 忌憚なく

もとよりそんなやつだろ

ぼくら


散った花を 散ったまま

踏みつけるのは誰だ

十二月クリスマスの

靴下にこめた願いを

今 ここに


紅のもとに

五月一日の

形骸化したMayday

形をとる 平等の行進

鎌と槌はいつの間にか

ぼくらの頭上にあった

待ち望んだ名君は

もう永遠に廟に眠るのに

今夜も安らかな眠りは訪れない


メーデー

ぼくら 時を越え

移ろう世界へ花束を

メーデー

今宵は 遺憾なく

思い思いの旗を掲げろ


メーデー

ぼくら 息をしよう

変わらぬ背中に中指を

メーデー

今宵は 忌憚なく

もとよりそんなやつだろ

ぼくら


もとよりひとりある

ぼくら



―――――――――――――――――――

 共産主義国家ソ連において、労働者の国家への反抗の日であったメーデーは国が主催する祭典と化した。そこにあったのはもともと国家への闘争を目的とした理想ではなく、単に国家を賛美する形だけの行進だった。それに異議を唱える反論者、心の意味での愛国者たちの声に重ねるものは何でもよくて……。

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