サイドストーリー
届くまで高く 伸ばした手のその先に
わたしたちは何を夢見ればいい
たかが背伸びをして 飛び跳ねるだけで
どこへ辿り着けるというのか
空高く腕を伸ばす摩天楼でさえ
天までは届かないのに
止まることを忘れた時計に
自重を覚えぬ閑古鳥は鳴く
サイドレールの壊れた公道に
安全運転もありゃしねえさ
「歌」という名になずみ
「詠む」という言葉に惑えるわたしは
弔いの灰に埋もれるまで
いいから 返事をしておくれ
遥かに瞬く ネオンライトを
あの人に喩えて 祈りましょうか
確かにとらえた テールライトに
希望を重ねて 願いましょうや
拭えぬ罪だけ積み重ね
光を求むるは誤りか
今ここに サヨナラの意味を問う
三途の川を 渡り来るまで
あと幾度の夜を 越えるのか
荒れ果てた墓標に 頭を垂れ
わたしの歩んだその道筋は
きっと 泥に汚れていくのでしょう
風よ 風よ 風よ 風よ
すべてを 跡形なく
払っておくれ
歩くことをも忘れた亡者に
自嘲を忘れぬ閑古鳥は鳴く
サイドレールの壊れた公道で
安全運転に勤しみましょうか
「声」という名になずみ
「木霊」という言葉に惑えるわたしは
弔いの炎を見つめるだけで
いいから 返事をしておくれ
遥かにきらめく ネオンライトを
あの人に喩えて 祈りましょうか
確かに逃した テールライトに
希望を重ねて 願いましょうや
拭えぬ罪だけ積み重ね
光を求むるは誤りか
今ここに サヨナラの意味を問う
今ここに いずれ来る平穏を誓う
―――――――――解説―――――――――
新型コロナウイルスによって、明日もしれない日々が続く中、たくさんのアーティストの方々がその苦しみや励ましを歌い、多くの人に希望を与えてくださった。そのコンセプトを僭越ながら踏襲させていただいたのが今作。
日に日に数を増やしていく死者の数。生き続けることに罪すら感じるほど、この苦境にあえぐ人々は後を立たない。そんな名もしれぬ、世界の報道のサイドストーリーたる彼らに贈ると称した、ただの自己満足。
作成人格: 星野響
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