RECALL

黙ったままで

色を失った街を見下ろした

わかっていたよ

どこを歩き倒しても

こんなものだろう

私の背中は

きっと震えているんだろう

慰める人ももういないのに


まだ見ぬあなたの名を叫ぶ

何度裏切られても 傷つけられても

再び呼び出す その影を

手負いの痛みも忘れては

一縷の望みも見ないまま

あなたの名前を泣き叫ぶよ

怪物だらけのこの世界に

頬を濡らしつつ

またね

今夜も日は沈む


ただ口つぐんで

色を失った街を見下した

冷たい瞳だ

固まった空だ

どこを見渡したところで

探しても光はない

私の背中は

きっと小さいんだろう

慰める人ももういないのに


消えないみたいな名を叫ぶ

幾度手を伸ばしても 届かないね

何度も何度も 消えぬ影

手負いの痛みも忘れては

希望の幻も見ない今

あなたの名前を泣き叫ぶよ

手の届かないこの世界に

握れぬ拳を振り上げた

またね

今日も月は沈む


拭いきれない罪と涙は

誰にも癒せぬメランコリー


――――――――解説開設――――――――

 初期の頃に書いた作品なので垢抜けない部分が見受けられる詩でございます。ひねりもほとんどないわけで、主題を読み取るという点では苦労しないかなと。

 メインテーマは他人を求めてしまう自分。何度裏切られようが罵られようが影口をたたかれようが、やっぱり人間の性は社会的生物であるとよく言われるように、他人との関わりを求めてしまうものです。信じても無駄だ、いつか必ず裏切られる、とわかっているのに相手を信じて温もりを求めてしまう。そんな苦悩を描きました。


作成人格: リン

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