ミッドナイト=ミッドタウン

空をキャンバスにと

誰かが言う

自分もわからないまま

君をわかれって?

無情にもけたたましく

閉じた遮断器で

立ち止まった

のがした 最終列車に揺られて

どこへゆこう

あてもないのに


誰にも気づかれなければ もう

それでいい


不特定多数に 振り回され

今日は何処いずこより日は昇る?

仮想の車窓 取り繕って

塗りつぶしの 夜空を 見上げていよう

もう少しだけ

もう少しだけ


ほうき星が夜空を 履き上げたなら

僕らの手で 好きなように

汚してしまおう

点描の空の単色に 星はない

黒い点が

黒くあるために 僕らには

居場所も ない

もう少しだけ

もう少しだけ

点を少なくして描こう

そうすれば 落書きだって できたのにな


明日は明日の風が吹くと

誰かが言う

明日のない僕らには

どう声をかける?

無風にも閉まったドアに

立ちすくむ

のがした 声は引力でサヨナラさ

あてもないね

誰が気づくというの もう

それでいい


顔も知らぬ 声も知らない

ことでしか 説明できないのに

なぜ僕らのことを説明できるというの

いつまで 圧力に抗えない?

力でもないのに

もう少しだけ

もう少しだけ

もう少しでも


ほうき星は夜空に たどり着く前に

ビルにの影に 押し込まれては

消えてしまうだろう

点描の空の淡色に 星はない

黒い点が

あるほどにあるために 僕らには

光もない

もう少しだけ

もう少しだけ

声を漏らして歩こう

そうすれば 誰か気づいて くれるかな


すがりつくなと振り落とされた

笑われる日

欠けた月

暗い闇だけが隠れ家なら

新月に目を慣らしても

魂はなれない

小慣れないで

離れないで


ほうき星が夜空を 履き上げたなら

僕らの手で 好きなように

汚してしまおう

点描の空の単色に

星はない

黒い点が 黒くあるために

僕らには 居場所もない

もう少しだけ

もう少しだけ

うつむいていよう

気が済んだかい



――――――――解説だよ――――――――

 社会不適合者は当然のごとく責立てられるだけだけど、ほんとにそれって当然のことなのかという問いを、生卵のごとく投げつける詩。

 社会がたまたまこのかたちであるから、これが枠組みだと決めつけているから、黒く汚れた点で覆われているから、社会不適合者が量産されていく。遮断器が閉まるように無情に人々の選別を行う。

 しかし、結局つまるところ全員が人間じゃないかと。たったその瞬間にまかり通っているだけの社会の規範に沿っていないだけで、ないがしろにされるのはどうなのだろうか。

 でも、私たちの力でこの世の中を変えることなんてできっこないのはわかっている。だから、いつか訪れる彗星(ほうき星)が到来し、黒い点を少しでも履きあげてくれることを私たちは待ちわびる。それまでは、気が済むまでうつむいていようよ。


作成人格: 相葉優樹

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