あとがき

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

 決して万人受けしない題材で10万字超えの話に最後までお付き合いくださった皆さまは、もうシェイクスピアマニアと言って差し支えないでしょう…!


 執筆中は終始楽しかったです。いや〜大好きな作品でパロディするのがこんなに楽しいものだとは!


 本当は全37作品を網羅したかったのですが…。セリフ1つすらチラとも出せなかった作品も多々ありました。

 様々な芸術に影響を与え続けるシェイクスピア劇ですから、知っていればそれだけで「あぁ! この話を題材にしてるのね!」と楽しくなること間違いなしです。


 さあ、もう一度あらすじを読み返してみてください!お気に入り作品は見つかりましたか?


 私のお気に入りその1は『から騒ぎ』。

 ツンデレのビアトリス嬢と、同じくツンデレのベネディックをくっつけようと、ドン・ペドロのおっさんたちが「あいつお前のこと好きらしいよ?」と双方に吹き込む、何もないところから始まるのがミソなラブコメです。大聖堂地下でマシューがやられたやつですね。


 これ、ラノベにしたら絶対面白いと思うんですよ。いつかやろうかな~。


 その2は『尺には尺を』。

 一見堅物なアンジェロがライラに襲い掛かるやつです。人間の色んな面があらゆる登場人物に表裏一体に現れ、どの人物を見ても好きにも嫌いにもなる。読むたびに色んな解釈ができます。


 何年か前の彩の国シェイクスピアシリーズの舞台では、アンジェロ役を藤木直人さんが演じられたようです。甘くて高潔な面の皮を一枚剥いだら、エロくて卑怯な顔が隠されていそうな感じがぴったりですよね! 見たかったなぁ。


 今年の彩の国の演目は『ジョン王』。マイナーな作品ですが、シェイクスピアイケメンランキング堂々の一位、私生児バスタードフィリップ様が登場する作品。演じるのは小栗旬さん。これは有給を取って行かねば! と楽しみにしていましたが、中止になってしまいました…。


 悔しいのでイケメンを紹介します。まず名前がっ! 「フィリップ・ザ・バスタード」イケメン…。

 ライラたちの時代より300年以上前、失地王の名で知られるジョン王の治世。


 ストーリーはイングランド王家お決まりのお家騒動です。ごちゃごちゃあってジョン王がフランス、ローマカトリック教会、イングランド諸侯から干渉され窮地に陥った時。王位とは無縁の私生児フィリップが颯爽と全軍を率いてイングランドを救うのです。ジョン王もフランス王も仲裁に立つ枢機卿もダメな奴なんですがね。このフィリップだけが輝いている!


「生みつけられ方がどうだろうと、この俺は俺さ」第一幕第一場

「イングランドが自らに忠実な限り、我々を悲しませるものは何もない」第五幕第七場

 はい、ヘンリーとリチャードを完全に食ってしまうため、拙作にはご登場ならずでした。


 あとは、楽だったのはハムレット。セリフ量が圧倒的なのでネタには困らないし、意味不明のままでいいから(笑)

 ジャ〇アンことコリオレイナスもそのまんまです。


 ヨーク三兄弟も書いてみたらよかったですね。特にリチャードに殺してもらえなかった長兄エドワードが!

 シェイクスピアは彼を「ヨーク家の太陽」と言ったそうな。血みどろの世界の中で、あのキャラ設定はナイスだぜウィリアム。


 しかぁし! 実は乃木の本命はヨーク三兄弟ではなく…ランカスター四兄弟なのです。

 上からヘンリー5世、クラレンス公トマス、ベッドフォード公ジョン、グロスター公ハンフリー(マーガレットと対決していたエレノアの夫)。


 次作はこいつらでファンタジーしようと考えております。

 赤薔薇白薔薇よりちょっと昔の話です。系図が頭に入っているうちにこれをやってしまわねば。最近すぐ忘れるんで!


 この間、ランカスターパンなるものを発見したんですよ。「えぇ!? 買わなきゃ!」とよーく見てみると…


 塩バター

 フランスパン(←2行になったこのレイアウト)


 どうです、やられちゃってますよねもう!


 わたくし、酒も飲まず書くことが最大のストレス解消という安上がりな人間なので、いつも物語が終盤になると「次書くことが見つからなったらどうしよう…!」と不安になるのですが、今回は安心して完結することができます。


 それではまたマニアックな世界でお会いできることを切に願っております。

 ありがとうございました。

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